睡眠の問題が男性の性生活に大きな影響を与えることは知られている。だが、性生活には十分な睡眠が必要だという理由がもう1つあることが、新しい調査によって明らかになった。

『American Journal of Epidemiology』誌に掲載された論文によると、睡眠障害と精子の数の減少には相関関係があるという。

具体的には、重い睡眠障害を持つ男性は、睡眠障害を訴えていない男性に比べて、精液中の精子濃度が29%低く、さらに「形態的に正常な精子の数が少ない」割合が高かったと、デンマークの研究者は報告している。

この研究結果は、採取した精液と血液のサンプル、および睡眠障害に関する質問調査の結果に基づいており、被験者は2008年~2011年の間に軍隊に招集されたデンマークの若者953名だった。

「男性の生殖能力に影響を及ぼす可能性がある要因のリストには、肥満、タバコの煙への暴露、化学汚染物質への暴露等がある。この調査は、新たな容疑者を加えることになった」と、フランスのジョセフ・フーリエ大学で生殖能力について研究するレミー・スラマ博士はThe Telegraphの取材に対して語っている。

さらに、睡眠不足は男性だけに影響を与えるわけではない。ハフィントン・ポストのブロガーであるマイケル・ブルース博士によれば、睡眠は女性の排卵を制御するホルモンのレベルに影響するため、女性の生殖能力に影響を及ぼす可能性もあるという。

精子に悪い影響を与えるものは、ほかにもいろいろある。缶詰や領収書、シャンプーやフライパンなど、思いがけない日用品も危険かもしれない。以下のギャラリーで紹介していこう。

Amanda L. Chan(原文/訳:佐藤卓/ガリレオ)

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  • 缶詰

    生殖毒性学におけるある<a href="http://www.rodale.com/bpa-and-unexplained-infertility" target="_blank">研究</a>によれば、家庭用品によく使われる化学物質であるビスフェノールA(BPA)は、精子の数を減らし、精子の運動性を弱める可能性があるという。 食品のパッケージに使われているBPAは、溶け出して食品の中に入り込む可能性がある。また、食品缶の多くは<a href="http://www.msnbc.msn.com/id/41025571/ns/health-sexual_health/t/shooting-blanks-surprising-sperm-killers/#.ULaH2WmMF9R" target="_blank">BPA樹脂でコーティング</a>されており、トマト缶など酸性の缶詰食品は特にリスクが高い。 [<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/ビスフェノールA" target="_blank">ビスフェノールA</a>は、ポリカーボネート製のプラスチックを製造する際のモノマーや、エポキシ樹脂の原料、ポリ塩化ビニルの可塑剤等に利用される。缶詰の内側を被覆するエポキシ樹脂の中にも含まれているほか、哺乳瓶や歯科治療用の歯の詰め物にも使われている。厚生労働省食品安全部基準審査課はホ-ムページに「<a href="http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kigu/topics/080707-1.html" target="_blank">ビスフェノールAについてのQ&A</a>」を掲載し、特に乳幼児と妊婦に対して注意を呼びかけている]

  • レシート

    ミズーリ大学が2010年に行った<a href="http://www.sccma-mcms.org/full+article/bisphenol+a+in+cash+register+receipts/" target="_blank">調査</a>によると、米国で使われているレシートの約40%にBPAが見つかったという。BPAは、皮膚を通り抜けたり手から口内に入ったりして、消化器官に到達する。レシートの上にカード用のサインをしたら、手を洗っておいたほうがいいかもしれない。

  • シャワー

    フタル酸系可塑剤(DEHP)は、シャンプーや石鹸、デオドラント化粧品、シェービングクリーム等の容器の多くにも使われている。

  • 汚染された魚

    ポリ塩化ビフェニル(PCB)は毒性のある化学物質で、その使用が禁じられているものの、一部の魚の体内に蓄積している。特に多いのは捕食魚や深海生物だ。 [発癌性や皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常など、生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすい。日本では1975年に製造および輸入が<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/ポリ塩化ビフェニル" target="_blank">原則禁止された</a>。横浜市が平成19年に行った「流通魚中のPCB調査」の結果は<a href="http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/inspection-inf/200802/pdf/pcb.pdf" target="_blank">こちら</a>(PDF)]

  • テフロンのフライパン

    デンマークのある<a href="http://www.rodale.com/male-infertility-and-nonstick-chemicals" target="_blank">調査</a>によれば、「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/テフロン" target="_blank">テフロン</a>」や「<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/ゴアテックス" target="_blank">GORE-TEX(ゴアテックス)</a>」、ワックスペーパーなど、加工が施された製品の製造に使われているペルフルオロアルキル酸と呼ばれる化学物質は、精子数の減少につながる可能性があるという。

  • 大豆

    大豆製品に含まれるイソフラボンは、<a href="http://ja.wikipedia.org/wiki/エストロゲン" target="_blank">エストロゲン</a>(女性ホルモン)に似た働きをする。2008年のある<a href="http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/07/25/AR2008072502985.html" target="_blank">調査</a>によれば、大豆製品の過剰な摂取は精子数の減少と関係があるという。

  • ストレス

    ストレスは、テストステロン(男性ホルモン)の<a href="http://scienceblog.com/community/older/1997/B/199701021.html" target="_blank">生成を抑える</a>働きをするため、精子の数を大幅に減らす可能性がある。

  • アルコール

    アルコールは、<a href="http://menshealth.about.com/cs/stds/a/healthy_sperm.htm" target="_blank">精子の生成能力を低下</a>させ、精子の数を減少させる可能性がある。

  • 禁欲

    カップルの中には、妊娠しやすくなると考えて、女性が妊娠しやすい期間になるまで禁欲する人たちもいる。しかし研究によれば、射精後に精子数が回復するまでには1日~2日かかるものの、それ以上長く待つと<a href="http://www.guardian.co.uk/uk/2003/jun/30/highereducation.sciencenews" target="_blank">精子の運動性が損なわれたり、形が変わったりする</a>可能性があるという。

  • タバコやマリファナ

    タバコの煙が精子に悪影響を及ぼすのは驚くことではないが、マリファナもよくないようだ。マリファナの常習者は、精子の数が著しく減少するほか、精子の泳ぎ方に問題が起こることが<a href="http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/3186686.stm" target="_blank">知られている</a>。