'13/6/16
広島のかき船2隻存続ピンチ
広島市中区の元安川に浮かぶかき船2隻が来年度以降、存続できない恐れが出てきた。国土交通省太田川河川事務所は長年にわたり、洪水時などに川の流れを妨げないよう船の小型化を要望。今回、応じられない場合は川の占用許可の更新を認めない可能性があることを初めて通告し、改善を迫っている。
船は「かき船かなわ」と「かき舟ひろしま」の2隻。河川事務所は「両船の規模が大きく川の流れを妨げる」と指摘。経営する業者2社に3月、本年度中に船を小型化するよう要請。占用許可をしない可能性についても合わせて伝えた。
かなわは1963年、ひろしまは67年から現在地で営業している。占用許可は毎年度、更新してきた。91年の台風19号では、両船が平和大橋の橋脚にぶつかり、壊れる事故が発生。河川事務所はこれまでも、更新時のたびに安全対策をかき船側に求めてきた。
河川事務所は、かき船を観光資源として存続を訴える広島市とも協議してきた。護岸に船が入るスペースを確保する▽船を小型化する―などの安全対策が話し合われたが、実現性や経費などの折り合いが付かなかった。両者の協議は3月に事実上ストップした。この結果を踏まえ、河川事務所は、業者側への改善要望を強めた。
かなわを経営する三保二郎社長(57)は「小型化も含めて検討している。特産の発信のためにも、理解をお願いしていくしかない」と話す。ひろしまの松岡巧社長(41)も「河川事務所や市と相談しながら存続の道を探る」と話している。
【写真説明】元安川に浮かぶ「かき船かなわ」(手前)と「かき舟ひろしま」(奥)