東京・新大久保の飲食店には「韓流スター」「K-POPアイドル」の来店サインのある店が多く存在する。「えっ、この店にこのアイドル、こないでしょう」といったものまでもある。

　初めて来るとそう思うかもしれないが、実はK-POPアイドル自体は街までは来ている。新大久保自体は本人に来る気がなくてもTVロケや、来日時のコンサート打ち合わせで呼ばれることが多い（韓国人は新大久保には別に行きたくないのだが、招聘元が気を回すから）。そのため店に訪れた際、サインをお店が貰っていることもよくあるようだ。記者もある日この街のドンキ近くで食事をしていた所、ナマで隣の席にK-POPアイドル（男）が座っていたことがあるので、彼らがフツーの飲食店に来るのは「本当」なのだが、通常プライベートの時はサインを書かないことが多い。

　実はこの「韓国芸能人のサイン」は新大久保の韓国料理店にとっては物凄く価値があり、さらにドス黒すぎる暗黒面が存在する。

　記者が聞いた話だが、とある不振な飲食店が、テコ入れとしてスターの来店を画策していた。スターを呼ぶ理由は、お店に「東方神起」や「BIGBANG」クラスの人たちが来て、写真とサインを残していけば飲食店が聖地化するからだ。それらをスケジュールに入れてもらうためには、どんなお金の積み上げでもコネクションでも使う。数百万払ったとしてもすぐに投資回収が可能だからだ。しかしそんな話は事務所側にとっては無数にあるため、まず強力なパイプがなければ上手く行くことはない。ならば次の手だ。

　ダメなお店は、それでもスターの来店歴が欲しい。だからサインを金で買うことを考えはじめる。サインだけなら本物を事務所からも調達できるし、場合によってはちょっと前の韓国が得意だった「精巧な偽物」に頼ることもできるからだ。ただ、たかが紙１枚がかなり割高なので、調達前に本当にこれに金を出す価値があるかを考えてしまう。

　そこで最後に登場するのは合成写真だ。日本もそうだが、韓国もネット先進国ゆえにコラージュ職人は多い。今年、２PMの来日コンサートで客を水増しした合成写真があり事務所が謝罪したが、あのレベルよりももっとリアルなものはカンタンに作れる。アーティスト写真ではバレバレなのでブログから画像を引っ張り、これを、お店の看板やアジュンマ（おばさん）と合成したりするのだ。もうこれは犯罪・詐欺レベルだが、さすがにアイドル・事務所は関与しておらず、事務所とは関係ない、謎の業者が勝手にもってくる話に乗っているだけだと思われる。あまりにも悪質すぎるのだが…。日本でそれを告発する人もいないため、あまり問題になっていない。そこまで手を出すと飲食店としては末期症状ともいえるだろう。

　ここで注意事項がある。これらについては我々日本人がもし合成を発見しても、一般客は絶対に強く指摘してはならない。なぜなら、新大久保には「素性のいい店」と「そうでもないお店」が存在するからだ。もし悪いほうだった場合、そのような指摘でお店に深入りするとあとあと面倒なことになりかねない。これは韓国系云々ではなく、歌舞伎町の裏側という土地に根ざす問題なのだが…。

　現在、新大久保の韓国料理の質は総じてレベルが高いとはいえない。その理由としては、前述のようなことを考える「味で勝負しないお店」が跋扈していることが原因だ。もし美味しいお店に行こうと思うなら「芸能人のサインに過剰に頼りすぎるお店」は避けておこう。