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【小名浜道路】総合対策で効果拡大を(6月13日)

 県は、いわき市の小名浜港と常磐自動車道を結ぶ「小名浜道路」(仮称)のルート選定などに向け、地元説明会を今夏から始める。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴い、浜通り地方の交通の流れは質、量ともに変わった。小名浜道路の新設を契機に、高速道路や国道、県道、市町村道の現状を調べ、総合的な交通対策を打ち出すべきだ。
 小名浜道路は、県の「ふくしま復興再生道路」に位置付けられている。常磐道いわき勿来、いわき湯本の両インターの中間地点と小名浜港をつなぐ。現在の所要時間は約30分で、開通後は半分弱の13分程度に短縮を目指す。県は12日、国が県に代わって工事を受け持つ国直轄権限代行の採択を関係省庁にあらためて要望した。採択されれば、国と県が役割を分担し、早期完成が期待できる。事業費の地元負担分にも国の支援が得られる見通しだ。
 いわき市内の応急仮設住宅や大規模な商業施設・観光施設などの周辺道路は、時間帯や曜日によって混雑が目立つ。災害公営住宅の建設準備が始まり、津波で被災した沿岸部の復旧・復興事業も本格化している。今後も交通事情の大きな変化が見込まれる。
 国や県などの道路管理者は、路線や交差点ごとに個別の交通量調査や渋滞解消策に取り組んでいる。原発事故の収束作業や除染現場に向かう車が多い6号国道の混雑に対しては、関係機関が検討会を設け、時間差出勤や迂回[うかい]路となる県道の利用を呼び掛けている。また、県は交差点の右折レーン増設などの工事を発注している。
 小名浜道路を含む幹線道路の整備効果を市内外に広げるには、高速道路、国道、県道、市道とのスムーズな連結が欠かせない。国、県、市がこれまで以上に連絡・調整を密にしながら道路づくりを進める必要がある。市内への避難者が多い双葉郡を含む浜通り地方全体の道路や、交通量の定期的な調査が大切だ。避難者の行動範囲が県内外に広がっている中で、隣接する茨城、宮城両県との連携も重要性を増している。
 大規模な道路の新設は用地買収や工事に多額の費用と長い年月がかかる。県は小名浜道路の工事を10年程度で仕上げる目標を掲げている。道路整備と併せ、交通安全施設や交通規制も随時、見直すべきだ。道路を使う車、自転車、歩行者のマナー向上も求められよう。関係機関や住民による協議会を設け、復興を加速する交通政策を話し合ってほしい。 (安田 信二)

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