女性になりすまして「痴漢して…」正体は４９歳国税職員？

　女性を装い「電車内で痴漢をして」とインターネット掲示板に書き込んでいた人物の正体は４９歳のおじさんだった？　今年４月、ネット掲示板の書き込みを見てＪＲ和歌山線の電車内で痴漢をしたとして２６歳の男が逮捕された事件で、和歌山県警が、４９歳の男性から事情を聞いていることが１５日、分かった。男性は和歌山県内の税務署に勤める大阪国税局の職員。「（被害者の）女性の服装などを書き込んだ」と出頭してきたという。県警では立件の可否を含め、捜査を進めている。

　４月３０日午前７時１２分ごろ、電車内で当時２３歳の女性のスカートの中に手を入れたなどとして、強制わいせつ容疑で大阪府岸和田市の元介護士の２６歳の男が和歌山県警に逮捕された。

　男は女性の左隣に座り、スカートの中に手を入れ太ももや腹をタッチ。女性は電車がＪＲ和歌　　山駅に停車した時に男の腕をつかんで引き渡した。ほかにもう一人、女性の体に触れている男がいたが逃走した。逮捕された男は「痴漢したい人とされたい人が出会うインターネットのサイトを見てやった」「女性から電車の時間と車両を指定された」などと供述。同意の上のつもりだと話した。

　問題のネット掲示板には「和歌山線の粉河～海南まで痴漢してくれる人いませんか」という書き込みがあったが、女性は「サイトを利用したことはない」と話したため、“真犯人”を県警が捜査していた。

　県警によると５月中旬、大阪国税局の男性職員が、知人に連れられて和歌山東署に出頭。「スマートフォンを使って女性の服装や座席の位置などを書き込んだ」などと供述している。事件当日、女性と同じ車両に乗り、周囲を観察しながら書き込みをしていた疑いもあるという。この男性職員は被害女性と面識はなく、朝の通勤の車内でよく見かける女性だったと話しているという。

　事実であれば、犯意のない他人を利用してわいせつ行為を行う「間接正犯」か、他人に犯行をそそのかす「教唆」に当たる可能性がある。県警は元介護士の男を５月下旬に処分保留で釈放しており、国税局職員の立件の可否と合わせて処分を判断する見通しだ。

　県警は電車に乗っていたほかの十数人からも任意で聴取した。米国にある掲示板のサイトのサーバーから通信履歴を照会し、男性職員らの供述の裏付けを進める。

　大阪国税局は「今後の司法当局の捜査に影響を与えかねないことから、コメントは差し控えたい」としている。

（2013年6月16日06時02分スポーツ報知）