最高裁:「裁判員の心に配慮を」通知 写真は白黒に
毎日新聞 2013年05月20日 02時30分(最終更新 05月20日 07時56分)
刑事裁判の証拠となった遺体の写真などを目にする裁判員の精神的負担の軽減に向け、最高裁が4月、白黒写真を使用するなどの事例が記載された報告書を参照するよう求める通知を全国の地裁に出していたことが分かった。福島地裁郡山支部で3月にあった強盗殺人事件の裁判で遺体のカラー写真を見た女性裁判員が急性ストレス障害と診断されたことが明らかになり、改めて裁判員の「心のケア」に十分留意するよう促したとみられる。
通知は4月26日付で、最高裁刑事局の課長名で出された。最高裁が設けた有識者懇談会の「議事概要」(2011年2月)と「裁判員裁判実施状況の検証報告書」(12年12月)の二つの文書を挙げ、裁判員の精神的負担を和らげるための配慮を例示した部分を、各裁判官や職員が参照するよう求めている。
文書では、「裁判員が証拠に触れることで不快感や嫌悪感を覚える可能性が否定できない」として(1)事実認定や量刑判断に必要な場合でもカラー写真を白黒にする(2)傷の形成過程が問題になる場合は写真ではなくコンピューターグラフィックス(CG)を活用する−−といった工夫で負担を和らげる事例が報告されている。【和田武士】