司法試験:「予備試験」始まる 初の1万人超え
毎日新聞 2013年05月19日 19時10分(最終更新 05月19日 22時18分)
法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格が得られる「予備試験」が19日、全国8会場で始まった。出願者は1万1255人(前年9118人)で、2011年の制度開始から2年連続で増加し、初めて1万人を超えた。一方、法科大学院の今年度の入学者は過去最低の2698人にとどまり、法科大学院離れが進んでいる。
予備試験は、経済的事情などから法科大学院に通えない人に門戸を開くため、合格すれば司法試験を受けられる「例外ルート」として設けられた。受験資格に制限がなく、司法試験の合格率も法科大学院修了者より高い結果が出ていることもあり、出願者数は年々増加している。
これに対し、「原則ルート」である法科大学院の入学者数は、06年度にピークの5784人に達したが、司法試験合格率の低迷などにより、その後は減少し続けている。
政府の有識者会議は4月、「法科大学院教育の改善状況も見ながら、予備試験を見直す必要があるかどうか検討すべきだ」との中間提言をまとめている。
19日は短答式の試験があり、その後、論文式や口述の試験を経て、11月7日に合格者が発表される。合格すれば、5年以内に3回まで司法試験を受験することができる。【伊藤一郎】
法科大学院協会事務局長の中山幸二・明治大法科大学院教授の話 受験技術に走る人が増え、視野の狭い法律家を生むと批判された旧司法試験の反省から、原則3年かけて幅広い法的素養を身につける法科大学院制度が導入されたのに、予備試験組がエリート視されるゆがんだ風潮が広がりつつある。予備試験に年齢制限を設けるなど、早急な見直しをしなければ、法科大学院制度は破綻する。