日本経済新聞

6月16日(日曜日)

日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
  • ヘルプ

コンテンツ一覧

速報 > 国際 > 記事

対米FTAでEU内に溝 仏、映像除外を主張

2013/6/15 1:30
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

 【ルクセンブルク=御調昌邦】欧州連合(EU)は14日、ルクセンブルクで貿易相会合を開き、米国との自由貿易協定(FTA)の交渉開始を承認するか協議した。合意すれば世界の国内総生産(GDP)の約半分を占める巨大な貿易圏づくりが前進する。ただ、米文化の流入を警戒するフランスなどが映像や音楽分野を交渉対象から外すべきだと主張、協議は難航している。

 米国との交渉に入るには加盟国の全会一致による決定が条件となる。EU側の推進派などは英国で開く主要国首脳会議(G8サミット)に合わせて交渉開始を確認するために、詰めの調整を続けてきた。

 映像や音楽分野の除外を最も強く求めているのはフランスだ。関係者によると、ブリック仏貿易相は14日の会合で映像や音楽分野を交渉のテーブルに載せることに「懸念」を表明。現在の状況では賛成できない姿勢を鮮明にした。

 米ハリウッドなどの攻勢への懸念が根強いフランスは、映画やテレビ番組の一定比率を自国制作にしなければならない「クオータ制(割当制)」や、映画制作などへの補助金を導入している。FTA交渉の過程でこれらの制度の廃止などを求められれば国内の映画や映像産業が壊滅的な打撃を受ける可能性があるとみている。これに対し、交渉を担当する欧州委員会や議長国アイルランドなどは「すべての分野を交渉の対象とすべきだ」との姿勢を示している。

 会合はフランスなどの強硬姿勢で一時中断。議長を務めるアイルランドのブルートン雇用・企業・技術革新相は同日午前の会合後、記者団に「(加盟国間で)合意を得るのに最適な時だ」と強調し、14日中の決定を目指す考えを改めて示した。

 米欧FTAをめぐっては、米情報機関が市民の個人情報を収集していた問題も影響を与える可能性が出ている。EUでは米当局が域内の市民も情報収集の対象にしていたのではないかと懸念を強めている。FTAではサービスを含め幅広い分野が交渉対象になるため、欧州議会のシュルツ議長は「大西洋の両側で高レベルの個人情報保護が必要だ」と指摘。FTA交渉の場でも協議すべきだとの認識を示した。

 EUと米国は14日、アイルランドで司法担当相会談を開き、米国の個人情報収集問題について専門家会合を設置し、EUが米側から情報の説明を受けることで一致した。

 農業分野も焦点となる。EUは遺伝子組み換え作物に厳しい規制をかけており、米国は規制・基準の調和などを進めて市場開放を求めたい考えだ。一方、EUは米国とのFTAでは遺伝子組み換え作物に対する規制は変更しない方針を打ち出しており、対立する可能性もある。

 米欧FTAは、オバマ米大統領とファンロンパイEU大統領らが今年2月に交渉開始で合意した。米国では米通商代表部(USTR)が3月20日に米議会に通知。90日を経た6月下旬には、交渉を開始できる態勢が整う。

小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有
関連キーワード

FTA、EU、オバマ、GDP、ルクセンブルク、対米FTA

【PR】

【PR】

主要ジャンル速報

【PR】



主な市場指標

日経平均(円) 12,686.52 +241.14 14日 大引
NYダウ(ドル) 15,070.18 -105.90 14日 16:34
英FTSE100 6,308.26 +3.63 14日 16:35
ドル/円 94.23 - .26 -0.87円高 15日 5:48
ユーロ/円 125.73 - .80 -0.97円高 15日 5:49
長期金利(%) 0.815 -0.045 14日 17:58
NY原油(ドル) 97.85 +1.16 14日 終値
ニッポン金融力会議
GlobalEnglish 日経版

東北復興福島原発ブログ写真特集東北復興特集

モバイルやメール等で電子版を、より快適に!

各種サービスの説明をご覧ください。

TwitterやFacebookでも日経電子版をご活用ください。

[PR]

【PR】

ページの先頭へ

日本経済新聞 電子版について

日本経済新聞社について