関西電力:空室維持費転嫁 チェック長年機能せず

2013年06月16日

 電力会社の無駄なコストが原価として認められてきた背景として、監督官庁のチェックの甘さもある。電力会社は総括原価方式で利益を保証され、地域への電力供給業務をほぼ独占する代わりに、経済産業省から監査を受ける。しかし、原子力発電の管理・運営などを巡って電力会社と密接な関係にある国が厳しい監査を続けることができるのだろうか。同省の有識者会議は3月に公表した報告書で、「規制料金である以上、市場に代わって行政が適正な料金を担保すべきだ」と、従来の国の監査や料金値上げ審査に苦言を呈し、今後の料金制度について、「経営効率化の努力を事業者に促すメカニズムをどのように入れるかが大きな課題だ」と指摘した。

 同省によると、資源エネルギー庁が毎年電力会社に出向いて監査をするが、財務関係書類の確認が主な内容で、経営効率についてはチェック対象外となっている。また、値下げする際は届け出制で、ここでも原価の中身を問わない。こうして、無駄なコストが長年にわたって見過ごされ、関電の社宅・寮の問題も、33年ぶりの値上げ申請への審査で初めて明らかになった。

 電気料金の仕組みに詳しい大島堅一・立命館大教授(環境経済学)は「電力会社の監査・審査には相当な専門知識と時間がかかる。同省に適切な監査を求めるのは相当難しいだろう」と指摘する。

 福島第1原発事故を受けた東京電力への調査で、総括原価の中に膨大な無駄なコストが算入されていたことが明らかになり、原価が精査されるようになった。原発などの発電施設にどんなに投資しても、すべて電気料金で回収できて利益が出るため、コスト意識の希薄さが際立った。しかし、審査手法は原則的に電力会社が提出した資料をチェックするだけで、「厳しさに欠ける」との指摘もある。

 大島教授は「電力会社は巨大な公益企業で、行政との結びつきが強い。適切なコスト削減を実現するには、経営効率を常時監視し規制する第三者的な独立した専門機関が必要だ」と提言する。

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