【イスタンブール=花房良祐】トルコのエルドアン首相は14日、デモの発端となったイスタンブール中心部「ゲジ公園」の再開発計画について、裁判所が差し止め請求の判断を下すまで工事をいったん中止する方針を示した。同国の金融市場では首相への抗議デモが沈静化するのではないかとの観測が浮上、株と通貨が反発している。ただ、首相の撤収要請を無視した座り込みは続いており、予断は許さない。
同国の代表的な株価指数BIST100は14日、前日比4.6%上げ、4日以来の高水準となった。通貨リラは買われて1ドル=1.85リラ程度となり、デモ隊と警官隊の衝突発生前の5月末の水準に上昇。2年債の利回りは前日比0.45%低い(価格は高い)6.18%と6月4日以来の低水準となった。
金融市場に上昇圧力を加えたのは「歩み寄り」ともとれるエルドアン首相の行動だ。
首相は14日午前3時半まで約4時間にわたり、デモを主導した市民団体「タクシム団結」のメンバーらと会談。首相が率いる公正発展党(AKP)のチェリク副党首は同日の記者会見で、裁判所が現在審議中の再開発計画の差し止め請求について最終判断が出るまで工事を見合わせると表明した。
差し止めの判断が出た場合は政府はそれに従い、差し止め請求が棄却された場合は住民投票を実施するという。一方、公園の抗議の座り込みはただちに中止すべきだとも述べた。
自身の強権的な政治手法に対する抗議デモを公園の再開発計画の是非にすり替え、デモ隊に譲歩した姿勢をアピール、抗議活動を収束させたい考えだ。警官隊の不適切な暴力についても内部調査を約束した。
首相は13日、24時間以内に公園から撤去しなければ強制排除に乗り出す考えを示していたが、14日には「(強制排除など)他の手段を取りたくない。今晩には終わってほしい」と述べた。
首相と会談したタクシム団結の報道担当者は「前向きな提案だった。私たちの民主主義と環境保護のための運動は意義があった」と評価した。「公園で抗議する仲間も前向きにとらえるだろう」と述べる一方で、今後の抗議活動については「仲間と協議する」と述べるにとどめた。
ただ思惑通りに抗議活動がこれで収束するかは不透明だ。大手紙ヒュリエットがインターネットで実施したアンケート調査によると「首相の譲歩を受けてデモを中止すべきか」と聞いたところ、公園の座り込みを「中止すべきだ」と答えたのは回答者の半分強にとどまった。
世論調査会社が6月初旬に実施した調査によると、公園のデモ参加者に抗議する理由を聞いたところ「公園の環境を保全するため」と答えたのはわずか20%。最も多かったのは「自由が侵害されているから」の58%で、首相の強権的な政治手法に対する反感がデモ発生の主な理由だった。
エルドアン、トルコ首相
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