国際リニアコライダー計画「日本誘致」に期待感6月14日 4時10分
2020年代の完成を目指して計画が進む最先端の実験施設、ILC=国際リニアコライダーについて、建設を推進する国際的な組織のリン・エバンスディレクターがNHKの単独インタビューに応じ、施設を日本が誘致することに期待感を示しました。
ILC=国際リニアコライダーは、2020年代半ばの完成を目指して計画が進められている最先端の巨大な実験施設で、現在、建設地の選定が進められています。
これについて、ILCの建設を推進する研究者の国際的な組織「リニアコライダーコラボレーション」のリン・エバンスディレクターが13日、NHKの単独インタビューに応じました。
この中で、エバンスディレクターは「ヨーロッパには、ほかの大規模な実験施設があり、ILCの建設は難しい。アメリカもプロジェクトに参加はするものの、全体をリードする働きはできないだろう」と指摘しました。
そのうえで、エバンスディレクターは「私たちは、ILCを日本が誘致することを前提に活動している。日本がリーダーシップを発揮し、ヨーロッパのCERNのような国際的な研究施設を作ってほしい」と日本の誘致に期待感を示しました。
ILCを巡っては、およそ8300億円の建設コストがかかると試算され、このうち半額を、施設を誘致した国が負担することになっています。
日本政府はこのため、国内の科学者で作る日本学術会議に対し、建設の意義などを報告するよう求めていて、それらを基に誘致に乗り出すかどうか決めることにしています。
ILCと国内候補地
ILCは長さ30キロの直線のトンネルの中で、電子と陽電子を光とほぼ同じ速さで衝突させ、宇宙が誕生した直後の状態を作りだすことで、宇宙の成り立ちの解明を目指しています。
日米欧の研究者は8年前から、このILCの設計を進めてきましたが、これまでに最終的な設計書が完成し、12日、東京で建設を推進する国際的な組織への譲渡式が開かれました。
日本国内では、岩手県の北上山地と福岡県と佐賀県にまたがる脊振山地が建設の候補地となっています。
建設されれば、世界中から数千人の研究者が集まり、大きな経済効果も見込まれるため、それぞれの地元では、産官学が連携した積極的な誘致活動が行われています。
国内の候補地は来月をめどに一本化される予定で、その後、各国間の協議で建設地が決まります。
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