有田焼伝統の柿右衛門様式に現代の息吹を加えた陶芸家で、色絵磁器の重要無形文化財保持者(人間国宝)の14代酒井田柿右衛門(さかいだ・かきえもん)さんが15日午前8時45分、転移性肝腫瘍(しゅよう)のため佐賀市の病院で死去した。78歳だった。通夜は18日午後6時、葬儀は19日正午から佐賀県有田町南原甲1113の11の有田セレモニーホールで。喪主は妻祐子さん。
13代酒井田柿右衛門の長男として有田町で生まれる。1958年、多摩美術大日本画科卒。先代の死去に伴い82年に14代を襲名した。山ツツジやタデなど身近な草花のスケッチを重ねて文様を生み出し、伝統の柿右衛門様式を受け継ぎながら、柔らかい生き生きとした現代性を注ぎ込んだ。日本の磁器発祥の地、有田を代表する柿右衛門窯の当主で、2001年に人間国宝に認定された。
14代襲名とともに、柿右衛門様式の最大の特徴で、重要無形文化財の総合指定を受けている「濁手(にごしで)」の技法の保持団体である柿右衛門製陶技術保存会の会長に。99年に地域文化発展、向上に貢献したとして文部大臣表彰を受け、00年には有田陶芸協会長に就いた。
また、99年から九州産業大学大学院教授、01年佐賀県立有田窯業(ようぎょう)大学校長、06年日本工芸会副理事長などを務め、後進の指導にも当たった。
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部