認知症とわたしたち
2013年2月15日
火災で4人が亡くなった長崎市の認知症高齢者グループホームは、市から建築基準法違反を指摘されていたのに改善していなかった。浮き彫りになってきたのは、利用者側が施設を見極めようとした時に、必要な情報にアクセスできる仕組みの不十分さだ。
今回火災が起きたベルハウス東山手は2010年、長崎市の調査で、防火扉の未設置など防火対策についての建築基準法違反が指摘され、是正の行政指導を受けていた。
防火対策が違法状態のグループホームは、このほかにも全国に数多くある。今回と同じような悲劇は、いつ繰り返されても不思議ではない。
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認知症高齢者グループホームの防火対策を国土交通省が昨年9月末時点で調べたところ、全国にある9969施設のうち、6.7%にあたる669施設が建築基準法違反だったという。
建築基準法に「グループホーム」という用語はなく、運用上は原則「寄宿舎」として扱う。廊下や階段への非常照明の設置や、主な間仕切り壁を準耐火にすることなど、旅館並みの防火対策が定められている。
国交省の調査は、10年3月に起きた札幌市の認知症グループホーム火災を受けて毎年実施しているが、違法な施設は2年たっても残ったままだ。
施設の違法の有無を、利用者の側が自治体に問い合わせて知ることはできるのか。
建物に違法があった場合、自治体は、まず持ち主や管理者に是正の行政指導をする。指導に従わなかったり危険だったりする場合は、使用禁止や取り壊しを命令。それでも応じなければ、強制撤去や刑事罰の対象にもなる。
対応が行政指導にとどまる限り、ほとんどの自治体は建物名を公表していない。ベルハウス東山手の名も、火災まで公表されていなかった。自分の家族を預けるグループホームの建物は安全なのかを自治体に尋ねても、多くの場合守秘義務に阻まれ、違法の有無を知ることはできない。
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