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【滋賀】

琵琶湖岸に不快害虫「びわこ虫」再び

「びわこ虫」を警戒する張り紙=大津市島ノ関で

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 一九七〇年代から九〇年代にかけて琵琶湖の南部で大量発生し、不快害虫として住民を悩ませた「びわこ虫」。最近は影を潜めていたが、再び姿を見せ始めており、湖岸の商店や商業施設では対策を始めている。昨年夏に顕著だった琵琶湖の植物プランクトンの増加が背景にあるとみられている。

 湖岸から近い大津市内の商業施設では“びわこ虫”の増加に困惑。大型商業施設では入り口に虫を誘い込み捕獲する「誘虫機」を設置。湖岸から近いコンビニ店でも、入り口には扉を閉めるようにお願いするビラを貼ったり、窓側の照明を消し虫が集まらないようにするなど対策をしている。

 店主の男性(70)は「十年ほど前の大量発生に比べれば今回は少ないが、それでも今年は多い。虫が入ると商品を汚したりするので厄介」と困っている。

 びわこ虫は湖にすむユスリカの仲間の総称。琵琶湖南部では一九六〇年代から体長一センチほどのオオユスリカやアカムシユスリカが目立ち始め、七〇年代からは大量発生するようになった。このころ問題になり始めた琵琶湖の富栄養化が要因と考えられている。

 住民からの苦情を受けた大津市は、一九七七(昭和五十二)年から湖岸での調査を開始。九一年までの一平方メートル当たりに飛来したアカムシユスリカの個体数の平均は五十三匹であったが、二〇〇〇(平成十二)年には平均二百七十六匹にまで増加。その後は激減し〇六年に調査は打ち切られた。

 一時は減少したはずのびわこ虫だが、今年に入り再び姿を見せ始めている。調査が打ち切られたため、今年の発生データはない。ただ、県琵琶湖環境センターの井上栄壮研究員(40)は「最近は見かけなかったが、今年はオオユスリカが壁に止まっているのを見ることが多い」と話す。

 原因として考えられるのは、ユスリカの幼虫のエサとなる植物プランクトンが増加したことだという。原因はまだ分かっていないが、昨年七月は琵琶湖の植物プランクトンが過去三十年間で最も多かった。この春から続いたびわこ虫の発生のピークは過ぎたとみられるが、井上研究員は「秋にも発生する可能性がある」と話している。

(安永陽祐)

 

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