柏レイソル=72、名古屋グランパス=71、ガンバ大阪=70。34試合の長い戦いを終え、J1の上位3強は1勝分にも満たないわずかな勝点差のなかにいた。柏のJ1復帰1年目での初優勝という快挙で幕を閉じた'11年の頂上決戦は、陸上競技ならば突き出した胸の差、競馬ならば首の上げ下げで決まるような壮絶なデッドヒートだった。
王座奪還を狙う鹿島アントラーズが序盤につまずき、前半戦は順調に見えた川崎フロンターレが負の連鎖に陥って折り返し地点から急下降。優勝を狙う先頭集団は、8月下旬には、前述の3チーム+横浜F・マリノスという4強に絞られた。そして10月初めには、自慢の堅守に綻びを生じさせた横浜FMが脱落。代表のW杯予選明けからのラスト6戦は、G大阪=57、柏=56、名古屋=53という勝点での三つ巴の争いとなった。
そこからの3強の戦いぶりは見事というほかなかった。ラスト6試合で、名古屋は全勝、柏は5勝1分、G大阪は4勝1分1敗(唯一の敗戦は名古屋との直接対決)。彼らは、精神的なプレッシャーや対戦相手の状況・状態に関係なく、自分たちより下位のチームから着実に勝点を奪った。3強のいずれも、このラストスパートで自分たちがJ1の王者に値するクオリティを備えたチームであることを証明したと言ってもいい。最終的には、3強から4位・ベガルタ仙台までの勝点差は14という大差にまで開いていた。
ガンバでまたも繰り返された、シーズン途中でのエース引き抜き。
3位に終わったG大阪には、'07年以来繰り返されてきたシーズン中のエースストライカーの引き抜きが今年も起きた。アドリアーノが6月にカタールへと去り、加えて新世代の象徴だった宇佐美貴史も7月にヨーロッパへ。平均的なチームなら確実に致命傷となり得るシーズン半ばでの得点源の離脱だったが、G大阪は今年も、巧みなリカバリーで優勝争いに食い込んでみせた。そのベースの強靭さには心の底から感嘆させられる。
G大阪のベースとは言うまでもなく、不動の司令塔である遠藤保仁を軸に熟成されてきたポゼッションの質であり崩しの質だ。彼らはそれぞれのフィニッシャーの特徴を短い期間で見極め、それに合わせてチャンスメイクのパターンを変えられる。7月にJ2草津から招き入れたラフィーニャが質の高い選手だったことは間違いないが、加入後17試合で11ゴールという目覚ましい成果は、その完成されたベースなしには生み出せなかっただろう。
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