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世界がもしご近所さんだったら
【第11回】 2013年6月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
まがぬまみえ [ライター]

仕事ができない人はすぐクビになるのに
デンマークが「世界一幸福な国」になれた理由

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 デンマークにはかつて、アンデルセン童話『マッチ売りの少女』に描かれたような貧しい時代があったことをご存知だろうか?

 街頭の片隅で売れ残りのマッチを擦り、凍えそうな体を温めようとして亡くなっていく少女の物語は、19世紀半ばのデンマークにあった現実を象徴的に描いている。飢えと寒さの中で亡くなっていく人々が、当時はたくさんいたのだ。

 時は下り、21世紀の今日。GDPこそアメリカやほかのヨーロッパ国には及ばないが、デンマークの民主主義は高く評価され、各種の「幸福度調査」では世界一にも輝いている。

 貧しかった北欧の小国、デンマークはいかにして「世界一幸福な国」となったのか?

 デンマーク大使館の広報官、イェンス・イェンセンさんの働き方を通してその謎に迫った。

公務員なのに副業もOK
これがデンマークのスタンダード

デンマーク大使館の広報官、イェンス・イェンセンさん

――まずは、このイェンス・イェンセンさんというお名前、日本人にはとても不思議な感じがしますね。

 デンマークでは「ハンス・ハンセン」「ヘンス・ヘンセン」「トマス・トマセン」などのように同じ音が重なる名前は多いんです。僕のファーストネームであるイェンセンは、少し前まで、デンマークでは一番多い名前でした。

 ちなみに、デンマーク語の「セン」は英語で言う「son(息子)」と同じ意味です。

――大使館にお勤めということは、公務員でいらっしゃる?

 そうですね。ただし、僕は外交官ではありません。現地採用職員なので。公務員と言えば公務員だけど、ま、ふつうの会社員的な?

 ここに勤務する以前は、日本で建築事務所やブランディングの会社に勤めたり、料理研究家としてデンマーク料理を教室で教えたり、ということもしていました。大使館に勤め始めたのは4、5年前、「商務部に空きが出たのでどうか」と知り合いに紹介されたのがきっかけです。最初のうちは商務官として日本に進出したいデンマーク企業のサポートなどをしていましたが、2年くらい前に今の広報官にシフトしました。

 それと、これもちょっと日本では珍しいかも知れないのですが、去年くらいからフルタイムでは働きたくないなと思い始めまして、自分から提案して月曜日から木曜日までの週4日勤務にしてもらいました。だから、今は毎週末、ロングウィークエンドという感じです。

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まがぬまみえ [ライター]

1970年生まれ。日本経済新聞社に記者として勤務後、田舎暮らしを経てフリーに。メジャーなテーマを生真面目に追いかけているつもりが、なぜかいつも脱線し、気がつくとマイナーな横道を走っている。「働くこと」と「生きること」「人と組織の幸福な関係」がテーマ。ダイヤモンド・オンラインではこれまで「絶滅危惧種なお仕事ガイド」「職あれば食あり」を執筆。東京大学教授、玄田有史氏との共著に『ニート』(幻冬舎)がある。

 


世界がもしご近所さんだったら

メディア論で知られるマーシャル・マクルーハンは1960年代、「グローバル・ビレッジ(地球村)」という概念を提唱し、大いなるセンセーションを巻き起こしました。世界がやがて1つの村のようになるという彼の予言はすっかり現実のものとなり、わたしたちに様々な意識変革を迫っています。

物理的・経済的に世界との距離が縮むほど、心理的・文化的には目に見えない摩擦が増えていくもの。村におけるご近所づきあいのコツは、信頼できる茶飲み友だちに聞くのが一番。という訳で、“村の掟”に詳しいご近所さんやその道のツウを探し、訪ねてみることにしました。21世紀を生きるビジネスパーソンには欠かせない、世界との良好なつきあい方を探っていきます。

「世界がもしご近所さんだったら」

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