ホーム > 海外医療情報 > 海外医療(機関紙) > 寄生虫ミニ辞典-《目次》 > B.扁形動物(条虫と吸虫)
2.嚢虫 Cysticercus
【事例】
神奈川県在住、21歳女性。焼き肉が好きでよく食べるが、生肉は食べない。 キムチが好きで、韓国産のキムチ漬けを購入し常食していた。1ヶ月前から 感冒様症状があり、左上肢のしびれと右上肢の筋力低下を感じ来院。頭部CTスキ ャンでは脳内に計1~2cmの腫瘤陰影が、血液検査では好酸球の増多が認められ た。このため、寄生虫症を疑って抗体検査を行ったところ有鉤条虫に対する 反応が陽性であった。【感染リスク】
感染源としては、ヒトの糞便に出現する虫卵と豚肉内の幼虫の2種が考えられる。 前者は 虫のみの感染であるのに対し、後者は有鉤条虫の感染を伴う。 上記事例は前者の可能性が濃厚で、輸入キムチが有鉤条虫に汚染されていた可能性が 疑われたが確証は得られなかった。予防法は食品の加熱処理。【症状と診断】
幼虫が寄生する部位により、皮下腫瘤、石灰化(最も多い症状で、皮下ある いは筋肉内の寄生)、痙攣、頭痛、めまい、運動麻痺(脳内寄生)、視力障害、 嘔吐、失明(眼球内寄生)などの症状が出現する。(c) Copyright :1997 Japan Overseas Medical Fund. All rights reserved.