次官内定の村木氏、本当に悲劇のヒロインなのか
【社会】
新聞テレビは、村木次官誕生について「女性の登用」を掲げる安倍政権の象徴のように報じているが、果たしてそうなのか。村木氏は、冤罪事件の被害者ということで、霞が関でも“アンタッチャブル”の存在だが、そこは高級官僚でもある。これまでも財政難を錦の御旗に数々の「弱者イジメ」政策に携わってきた猛女なのだ。
「05年に成立した悪名高き『障害者自立支援法』はその代表例です。社会保障費を抑えるために導入された法律で、障害者に応益負担の原則を求める内容です。中心になって関わったのが、当時、社会・援護局障害保健福祉部企画課長だった村木氏。この法律の問題は、障害者に提供されるサービスを社会保障ではなく、保険と考えていること。つまり、サービスを利用するなら相応のカネを払え――ということです。
しかし、生まれつきや不慮の事故、病気などで障害者になった人の多くは働くことができず、無収入です。『応益負担』など無理な話で、本来、そういう社会弱者に対する社会保障制度を充実させるのが国の役目。それなのに村木氏は正反対の法律を作ったのです」(障害者団体関係者)
◆裏にシタタカな政府の深謀
障害者自立支援法は08年から09年にかけて全国で違憲訴訟が続出。10年に原告と政府・与党の間で「和解」となったものの、結局、法律の「一部改正」でウヤムヤに。そのころ、村木氏は逮捕→無罪で「時の人」になったが、職場復帰すると社会・援護局長に就き、これまた「改悪」と批判噴出の「生活保護法改正」に走り回っている。
「今国会で審議された法案の中でも、改正生活保護法は侃々諤々(かんかんがくがく)となった。露骨な弱者切りだからです。この法案は村木さんが作ったのではなく、たまたま国会審議中に局長になって、答弁の役回りになっただけのこと。とはいえ、“アンタッチャブル”な存在の村木氏を登用し、野党や国民からの反発をかわそうという下心は見えます。今回の事務次官起用人事も、今後の焦点となる社会保障費抑制の世論からの批判を避けたい狙いがあるのではないか」(野党国会議員)
いつまでも悲劇のヒロイン扱いしていると、国民は痛い目に遭うかもしれない。