東日本大震災:岩手・山田町のがれき受け入れ、富山市住民ら抗議書 反対派「現地で処理を」、被災地「一日でも早く」 /富山

毎日新聞 2013年06月13日 地方版

 東日本大震災で発生した震災がれきの広域処理を巡り、富山市などでつくる富山地区広域圏事務組合は18日から、がれきの本格受け入れを始める。これにより予定していた県内3団体全てで処理が進むことになる。国の要請による県内での受け入れ量は計3900トン。当初要請した量の約3分の1にとどまる。このため、反対派は「広域処理の必要性はない」とアピール。一方、被災地には「一日でも早くがれきを処理したい」との思いがある。【大森治幸】

 県内で受け入れるがれきは、岩手県山田町で発生したもの。同県が先月3日に発表した資料によると、同町に残っているがれきのうち、可燃物の量は3月末現在で約1万4300トンとみられる。そのうち約9000トンを現地の4施設で処理。3900トンは富山県での処理に委ねる。

 岩手県の計画では、がれき全体の処理を来年3月で終わらせる方針。一方、同町は可燃物について、終了時期を前倒しした形で、今年9月で処理を終わらせる計画を打ち出した。

 昨年度、現地4施設で処理したのは計1万7200トン。この実績を踏まえると、終了時期を前倒ししなければ、1万4300トンの可燃物は現地で処理ができる計算になる。仮に同県が広域処理に委ねず、全て現地で処理した場合、10カ月弱の期間が必要で終了は来年1月となる見込みだ。

 がれきの受け入れに反対する富山市の住民らは今月11日、県に対して受け入れ撤回を求める抗議書を提出。同市内で開いた記者会見では「広域処理をしなくても、岩手県内での処理が十分可能で、あえて富山県で受け入れる必要性はない」と訴えた。

 一方、岩手県廃棄物特別対策室は「可燃物の処理は9月で終わらせたい」と前倒しの姿勢を強調。広域処理は不要ではないかとの指摘については「そういう声は聞いている」としながらも、「来年3月までの期限いっぱいではなく、がれきは一日も早く処理したいというのが被災地の思い。来年3月までかかるのも遅いくらいというお叱りの声がある」と打ち明けた。

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