PC遠隔操作:「謝罪じゃ足りない」誤認逮捕大学生の父

毎日新聞 2013年06月04日 15時00分

 パソコン(PC)遠隔操作事件で、神奈川県警が誤認逮捕した男性(20)の父親が毎日新聞の取材に応じ、「警察は当初から犯人と決めつけ、取り合う意思もなかった。謝罪じゃ足りない」と胸中を吐露した。警視庁などの合同捜査本部は4日にも、この事件について片山祐輔被告(31)=一連の誤認逮捕事件で逮捕、起訴=を威力業務妨害容疑で追送検する。【荒木涼子、喜浦遊】

 大学生だった男性が同容疑で突然逮捕されたのは昨年7月。横浜市のホームページ(HP)の投稿欄に「市内の小学校を襲撃して皆殺しにしてやる」などと書き込み、授業参観を中止させたというのがその理由だった。

 神奈川県警などの説明によると、男性は当初は否認したが、逮捕の3日後には容疑を認める上申書を提出。その後また否認に転じたものの、再び容疑を認めたという。

 父親は面会を繰り返した。「3〜4回だったでしょうか。やってもいないのに、(私たち)親が『お前、やったのか』って聞くんです。それは(息子にとって)厳しいことだったでしょう」

 無実が証明され、男性の保護観察処分が取り消された後の昨年10月、父親は報道陣に向けた手記で「最も悲しいのは、親が息子の無実を疑ってしまったこと」と書いた。その時のやりとりは今も「息子と私、家族のトラウマ」という。「警察や検察が謝罪に来ました。でもそんなもんじゃ足りない。後をどうしてくれるんだ」

 誤認逮捕が発覚すると、男性の実家のある山あいの住宅地には多くの報道陣が集まった。メディアに対しても「ここには人間関係があるんです。そんな中、(自宅に)押しかけられて。責任を持って伝え続けてくれることはしない。報道はあまりに一過性だ」と憤る。

 無罪を主張している片山被告について尋ねると「いずれ判決が下ると思いますが、私たちには関係のないことです」と話し、こう続けた。「もう終わったのです。そう思わないと生きていけない」

 【ことば】PC遠隔操作事件

 インターネット上に殺人や爆破予告を書き込んだなどとして昨年7〜9月、4人の男性が警視庁▽大阪府警▽神奈川県警▽三重県警−−に威力業務妨害容疑などで逮捕された。合同捜査本部によると、片山被告が誤認逮捕された男性のパソコンを遠隔操作していたことが判明。4都府県の警察本部は4人に謝罪した。片山被告は一連の事件で3回起訴されたが、否認している。

 ◇PC遠隔操作事件を巡る経過

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