だから、ブラック企業をなくすためには、ちょっと政策をいじくればよいという話ではない。規制緩和をすればぜんぶうまくいく、などという単純な話でもないし、逆に、なんでもいいから規制を強めればよい、という話でもない。
もちろん、「あそこはブラック企業だ!」と個別の企業をやり玉にあげるだけでも、問題はまったく解決しない。
「労働」を変えるためには、今までの日本社会が「労働」を通じてどう形成されてきたか、まずはそのことを知らなければいけないだろう。
「政治が悪い」「政策が悪い」「企業が悪い」と悪役を探すだけではなく、私たちはどう「労働」と向き合ってきたのか、そして、これからどう向き合っていくことができるのか。
そういったことを、本書では、私たち「個人」の目線から考えていきたいと思う。
ひとつだけ先に言っておきたいのは、
「労働」のあり方は、変えることができる
ということだ。
無理がある日本の労働も、私たちのこれからの行為や選択によって、塗り替えていくことができる。「耐えるか、辞めるか」ではなく「変える」という新しい方向へ、舵を切っていきたい。
その可能性をも、本書では提示していきたいと思う。
本書の構成
本書では、労働相談の実態に加え、経済学、政治学、社会学、法律学のエッセンスを用いて、「労働」に関する考察を行っている。
新書という書物の性格ゆえに、議論の正確さをあえて犠牲にしている部分もあることを、あらかじめ注記しておきたい。
第1章と第2章では、個人が労働問題に向き合うとき、どのように物事が決まるのか、その過程を述べる。
つまり、現場レベルで違法・合法はどう決まるのか? を見ていく。
法律の教科書にも、労使関係の教科書にも書かれていない、個人が会社と向き合うときの「生の現実」から分析を出発しよう。
続く第3章では、個人が会社と向き合うことで、「社会」にどのような影響を与えるのか、個人から社会へと続く、私たちの可能性を示す。
- 日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? 著者:今野晴貴 第1章より 労働相談に行っても問題は解決しない!?他抜粋〜 (2013.06.15)
- 日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? 著者:今野晴貴 第1章 「サービス残業」は、なぜなくならないのか?より一部抜粋〜 (2013.06.14)
- 日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? 著者:今野晴貴 はじめに どうすれば、日本の苛酷な「労働」を変えられるのか? (2013.06.13)
- 『日本をダメにしたB層の研究』著者:適菜収 なぜ日本人は「参加」したがるのか? 【後篇】 (2012.11.02)
- 『日本をダメにしたB層の研究』著者:適菜収 なぜ日本人は「参加」したがるのか? 【前篇】 (2012.10.26)
- 日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? 著者:今野晴貴 第1章 「サービス残業」は、なぜなくならないのか?より一部抜粋〜 (2013.06.14)
- 話題の本の著者に今野晴貴 「若者を使いつぶす国に未来はない!」 (2013.03.31)
- 飯田泰之 × 常見陽平「饒舌大陸」 田中秀臣さんと語る「2013年、就活の真実」 【第3回】若者に希望を与えつつ、苛酷にこき使うのがブラック企業だ (2013.06.07)
- 飯田泰之 × 常見陽平「饒舌大陸」 田中秀臣さんと語る「2013年、就活の真実」 【第2回】ベンチャーに行くか大手に行くか、リスクとメリットをよく考えよ (2013.06.06)
- 「アベノミクスの3本の矢は放たれるか」 2013年2月18日20時~放送分 【第2回】 (2013.03.23)
-
-
歳川隆雄「ニュースの深層」スクープ!斎木新事務次官"以外"の外務省人事。宮内庁川島侍従長は留任へ (2013.06.15)
-
BRAVE NEWS長谷川幸洋「財政再建を自分の頭で考えるための数式」 (2013.06.15)
-
古賀茂明「日本再生に挑む」官々愕々 原発をめぐる「国家的粉飾」 (2013.06.15)
-