だから本書では、どうすれば日本の「労働」を変えられるか、について考えたいと思う。
日本社会は「労働」を通じてどう形成されてきたか?
日本はもともと長時間労働や「過労死」の国として有名だ。
過労死(karoshi)は世界語になってしまっているし、外国では昔から、日本人は「エコノミックアニマル」と呼ばれたりしている。
要するに、日本人は異常なまでに働いているし、「死ぬまで会社に尽くす」という、常軌を逸した事態が起きてしまう。
これは、世界から見ると、かなり異様なことなのだ。
今でも、日本にはブラック企業がはびこっているし、過労死も増え続けている。最近では、若者の過労自殺が増加していることが社会問題になっている。
だが、そもそもなぜ、これほど日本の労働は過酷なのか?
みなさんは考えたことがあるだろうか。
「ブラック企業」とまでいわなくとも、長時間の過酷な労働を強いられる点では、昔ながらの「日本型雇用」も変わらない。終電に乗れば、疲れた顔のサラリーマンたちが、すし詰めにされている。
過酷な日本の労働のあり方は、今日や昨日にはじまったことではない。
著者:今野晴貴
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そもそも、過労死を生み出すような労働や、サービス残業といった行為は、どうして正すことができないのか? あるいは、非正規雇用や女性に対する差別は、どうしてなくならないのか?
サービス残業など、明らかに違法なのにいつまで経ってもなくならない。
この国は法治国家ではなかったのか?
私は、大学時代に法学部で労働法を専攻した。その後、大学院では社会科学を専攻し、この問題を研究し続けてきた。
不合理や不正義が、どうして正せないのか。
このことの解明と是正の可能性を探ることが、私の一貫した研究テーマである。
現時点で言えることは、これらの現状は、日本社会に暮らす人たちの日々の行為や選択、そして、さまざまな政策の積み重ねの結果だということだ。
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