はじめに どうすれば、日本の苛酷な「労働」を変えられるのか?
若者が悪い、というバカげた論調
労働の厳しさが増している。
この10年間、若者は苦しみ続けてきた。
非正規雇用の増加にはじまり、厳しい就職活動、そしてその先に待つ長時間労働やパワーハラスメント。
非正規雇用の割合は、若者の間で4割近くに達する。
また、パワーハラスメントの労働相談は、数年で何倍にも増えている。
私は大学生のとき(2006年)にNPO法人「POSSE」を立ち上げ、労働相談活動を7年間にわたって行ってきた。
POSSEの設立当時、非正規雇用が増加し、就職活動は厳しさを増していた。
それなのに、その原因は「若者がおかしくなったから」だと言われていた。
「ゲームばかりして頭が悪くなった」「柔らかいものばかり食べて、脳が退化した」「若者の習性はサルに似ている」「だから、フリーターやニートになる」。
こんなことが「当然」のように言われていた。
労働環境はどんどん悪化しているのに、それは若者が悪いからだという。
なぜこんなバカな話が広がるのか? それは、労働組合や政治家にとって「若者」がとるに足らない存在だったからである。
独自の発信力も、政治勢力も持っていない。
私たちの世代の、私たちの現実は、誰にも「代表」されず、当事者不在で勝手に議論された。
だから私は、若者の雇用・労働の実態に切り込むために、労働相談や調査活動を行うNPO法人を立ち上げたのだ。
以来、私が直接・間接的に関わった労働相談は1500件を数える。
「ブラック企業」を見分けても意味がない
若者からの労働相談は、本当にひどいものばかりだ。
たとえば、入ったばかりの会社で、いきなり「使えない」と言われて、イジメがはじまる。そして鬱病になり、「自分から辞めるしかない」状態に追い込まれる。
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