会社から解雇予告を受けた。弁護士に相談したところ、解雇の理由をただす内容証明郵便を送り、会社の弁護士と話し合いも行ってくれた。
しかし、「裁判をしないと解雇を撤回させられないが、そこまでは裁判費用の面から引き受けられない」と言われてしまった。
弁護士に相談したとしても、弁護士費用や、弁護士の「やる気」の問題に左右されてしまうことが多いのだ。彼らにとっても「商売」である以上、利益にならない事案、不得意な事案に時間をかけるわけにはいかない。当然のことだろう。
行政の職員にしても、職員の数には限りがあるのだから、すべての事案に丁寧に接することは困難である。
著者:今野晴貴
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労働基準監督官は全国に2000人程度いるが、管理職も含まれるので、実際に取り締まりに当たるのは1500人ほどだ。東京23区には、たった139人しかいない(2012年時点)。これは、監督官ひとりが3000事業所を監督しなければならない計算である。
だから彼らは、大企業のような社会的影響の大きい企業の捜査や、確実に立件できる証拠が整った案件に注力しようとする。
それはそれで、現場の合理性がある。
都道府県の相談窓口にしても、彼らは労働基準監督官のような捜査権限を持っているわけではない。企業に拒否されれば、話し合いの場を設けることすらできない。
さきほども言ったように、監督官であれば、「本気」にさえなれば捜査も立件も可能であるが、都道府県の場合には、「本気」になってもそれができない。
だから、企業に対して尻込みしてしまうのも、無理はないのだ。
以上のように、労働問題が起きたら専門家に相談すればすぐに解決、というわけにはいかない事情が、おわかりいただけたと思う。
法における「正しさ」はカウンセラーしだい
労働相談窓口の多様さは、ただ解決能力に差があるというだけにとどまらない。
同じ事案でも、相談するカウンセラーしだいで「違う法律」の問題になってしまうこともあるのだ。
他の相談窓口を経て私のところにやってくる人から話を聞くと、「なんでそんなことを言うのだろうか?」と思うことが少なくない。
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