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第1章 「サービス残業」は、なぜなくならないのか?
みなさんは、自分の労働条件が法律的に、どのように決まっているのか考えたことはあるだろうか?
たとえば、何年働いてもいっこうに給料が増えないことや、40代以上が突然のリストラに遭うことなどは、社内規定ではなく「法律的」に、はたして「正しいこと」なのだろうか?
法律上の正しさと現実との乖離に悩む人は多い。
たとえば、いわゆる「サービス残業」(対価が支払われない残業)は違法なはずなのに、経営者たちは「残業代をすべて支払うと商売が成り立たない。会社がつぶれてしまう」などと口を揃えて言う(たとえ口には出さなくても、腹ではそう考えている)。
だからといって、法律を守らなくてよいという理由にはならないはずなのに、サービス残業を従業員に強いる企業はあとを絶たない。
違法がまかり通っている。
法治国家においてそういったおかしな状況は、いったいなぜ起こるのだろうか?
まずはそこから、考えてみたい。
すべての「詐欺」を警察が取り締まることは不可能
著者:今野晴貴
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じつは、法律的に「正しい」と言うとき、そこには2種類の正義――国家(警察や検察など)の〝取り締まり〟によって実現する正義と、自由な市民同士の〝関係(約束・契約)〟によって実現する正義――が存在する。
一般的に想像される「違法なはずだ」という知識や感覚は、前者の正義に反する行為を指すことが多いだろう。
たとえば、殺人や傷害、強盗などの「犯罪」が、その典型だ。
一方、後者の「正義」は、少しイメージしづらい。
これは、商品の売買や雇用など、主に「契約」に伴う権利が正しく実現されているかどうか、というときに問題になる。
たとえば、商売において商品を100個仕入れる約束をしてお金も振り込んだのに、80個の商品しか届かなかった、などというケースが典型だろう。
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