労働基準監督官は、じつは特定の法律で罰則が定められた範囲でしか取り締まりができない。
その「範囲」とは、労働基準法などに定められた、国民の生活や生命に直結する「絶対に守らないといけない最低限」に限られている。
労基署の守備範囲は意外と狭いのだ。
パワハラに関して、行政処分を行う権限はないのである。
東京23区には監督官が139人しかいない!
では、労基署以外の労働相談窓口はどうだろうか?
国が設置する労働基準監督署とは別に、都道府県が相談窓口を設置していることがある(東京都では「東京都労働相談情報センター」)。
この場合の事例を見てみよう。
貨物の運送を行う正社員の方からの相談――
勤務中に肩の関節を負傷したが、病院へ行かせてもらえなかった。後日、手がしびれてくるようになったため、やむをえず会社を休んで病院へ行った。
労働災害保険(労災)を申請したが、会社が調査に協力してくれないため、申請が認められなかった。そこで、県の労働相談窓口に相談したが、取り合ってもらえなかった。
その後も、休んだことや、労災申請のために会社と交渉したことについて、上司から何度も脅迫的叱責を受けている。
さらに、会社を辞めるように言われてもいる。
相談の内容がかなりひどい。
本来、権利であるはずの労働災害保険の申請を行うことを会社は妨害したうえ、これを理由に辞めさせようとまでしている。
ところが、労働相談窓口を公的に開いている県の窓口では、相手にさえしてくれなかったという。
理由はいろいろ考えられる。たとえば、都道府県の相談所は労基署と違って権限が弱いため、企業相手に尻込みしたのかもしれない。
ならば、弱者の味方であるべき弁護士だったらどうか?
正社員の方からの相談――
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