主張子宮頸がん対策 HPV検査の導入めざす

公明新聞:2012年9月27日(木)付

厚労省が方針 ワクチン、検診強化で予防は可能

20~30代の若い女性に増えている子宮頸がんの検診について、厚生労働省が従来からの細胞診に加えて、「HPV(ヒトパピローマウイルス)検査」を来年度から導入する方針を固めた。

子宮頸がんはHPVウイルスへの感染が原因であることが明らかになっているため、検診項目にHPV検査を併用することで検診の精度を上げるためだ。

公明党は2年前の「子宮頸がん予防法案」提出以来、併用型検診の早期導入を粘り強く主張してきただけに、厚労省の方針は評価したい。

ただ、女性の約8割が、一生に一度はHPVウイルスに感染するとされている。感染しても、通常は免疫力により自然に消滅する。たとえ消滅しない場合でも、すぐに子宮頸がんを発症するわけではない。HPVへの感染が即、子宮頸がんと過剰に心配する必要はない。

このため、HPV検査では原因ウイルスであるHPVのDNA(遺伝子)が子宮頸部に感染しているかどうかを調べるとともに、100種類以上あるHPVウイルスのどの型かを特定する。

この型によって引き起こされる病気に違いが生まれることから、将来の危険性を予測しようとする検査法だ。

同省は来年度予算の概算要求に、このHPV検査への補助を柱とする新規事業費116億円を盛り込んだ。同検査は、これまで一部の自治体にとどまっていたが、子宮頸がんの早期発見のため、新たに30歳代への検診を中心に実施する予定である。

子宮頸がんは毎年約1万5000人の女性が発症する。公明党は「予防と検診の強化で根絶できる」と主張し、まず、2009年度から子宮頸がん検診に無料クーポンを導入させた結果、検診率の向上に結び付いた。続いて、接種費用が4万~5万円と高額な子宮頸がんワクチンへの公費助成を実現し、11年度からは、ほぼ全自治体で実施されるまでになった。

公明党は、国民の命と健康を守ることが政治の最優先課題と考え、子宮頸がん対策を大きく前進させてきた。がんワクチンの接種、早期発見で、子宮頸がんは予防できる時代になってきたのである。

一方、HPV検査の導入に対し、一部に過剰な精密検査につながる恐れを心配する声もある。厚労省はこうした不安の声に真摯に耳を傾け、丁寧な説明を心掛けてほしい。

この世から子宮頸がんを根絶できる日をめざし、努力を重ねたい。

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