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株価上昇の切り札に郵貯マネー!?

【政治・経済】

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2013年6月13日 掲載

政策空振りで奥の手


 安倍政権が株価上昇で新たなカードを切ろうとしている。日本郵政が抱える巨額資金を株式市場で運用させるというのだ。7月21日の投開票が濃厚な参院選までは、何としてもバブルを継続させたいらしい。なんとも、あざとい連中である。

 政府の産業競争力会議は12日、アベノミクスの第3の矢となる成長戦略を取りまとめた。「産業再興」「戦略市場創造」「国際展開」を3本柱に、今後10年間、GDP成長率を平均で名目3%(実質2%)伸ばすとしている。

 もっとも、市場は冷ややかだ。化けの皮が剥がれた経済政策に、ピクリとも反応しなくなっている。成長戦略の中身が明らかになるにつれて投資家は失望した。一時は1万6000円近くまで上昇した日経平均株価は、今や1万3000円をキープするのがやっとである。

 もはやアベノミクスでマーケットは動かせない。切り札となるのが郵貯マネーというわけだ。

「ゆうちょ銀行は190兆円の資産のうち、9割を日本国債で運用している。株式はゼロです。そこで安倍政権が主導し、ゆうちょのポートフォリオを見直す。かんぽ生命の90兆円近くもプラスすれば、総額は280兆円。その10%でも株式に回せば、30兆円近くの資金が市場に流れ込むことになる。東証1部の時価総額は380兆円程度だから、かなりのインパクトになります。日本を離れた外国勢を呼び戻す効果も十分に期待できる」(証券関係者)

 先週末、厚労省所管のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、110兆円に上る公的年金基金のポートフォリオ変更を発表した。国内株式を11%から12%に増やすという。昨年末の14.5兆円から1兆円程度増やされる計算だ。

 これに市場は反応した。7日の日経平均株価は一時300円超も下げていたが、GPIFの発表で一気に下げ幅を縮め、26円安で取引を終えている。1兆円程度の資金量でも押し上げ効果は絶大なのだ。1ケタ違うカネが流入するとなれば、日本株は再び沸き立つ。それが安倍政権の狙いである。

「唯一の株主という立場を利用して、日本郵政のトップ人事に介入し、坂社長の更迭と西室氏の抜擢を決めたのも、政府主導で運用見直しを進める布石でしょう。11日の政策決定会合で日銀が追加緩和を見送ったのも、この奥の手があったから。そう考えると合点がいきます。政府は秋にも成長戦略第2弾を取りまとめる予定ですが、参院選に間に合わせるのはムリ。ロクなメニューを提示できなかった政権が、第2弾で市場を驚かすなんて逆立ちしても不可能でしょう。結局、カンフル剤を投与し、直接刺激することしかできないのです」(市場関係者)

 安倍政権は14日に「成長戦略」と「骨太の方針」を閣議決定する。早ければ、そのタイミングで郵貯資金の運用見直しを打ち出すともっぱらだ。やれば株価は上がるだろうが、庶民生活が豊かになるわけではない。しょせんはバブルである。

 なけなしのカネを投資するとしても、冷静な判断が必要だ。

~2013年6月13日以前の記事~

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