法廷に証拠提出された取り調べの録画映像をＮＨＫに提供したことが刑事訴訟法で禁じられた証拠の目的外使用にあたるとして、大阪地検が弁護士を大阪弁護士会に懲戒請求した問題で、番組で放送したＮＨＫの松本正之会長は６日の定例会見で、目的外使用にはあたらず問題ないとの認識を示した。「番組で必要と判断した。法廷で公開されており、関係者の了解を得てプライバシーに配慮して放送した」と述べた。

　ＮＨＫは、傷害致死罪で大阪地検に起訴され、無罪が確定した男性の取り調べ映像を入手。４月５日放送の大阪放送局の情報番組「かんさい熱視線」で、男性の音声を変えるなどして映像を使用した。映像の入手経路は明らかにしなかった。

　また、番組中に「遅刻」を指摘されたことに腹を立てＮＨＫの番組へのスタジオ出演を２００８年以降拒否してきた日本維新の会の橋下徹共同代表（大阪市長）に対し、ＮＨＫが昨年１２月に出演を求める謝罪の手紙を渡していたことが分かった。橋下氏は６日、討論番組「日曜討論」（９日放送）の収録に臨んだ。

　松本会長は「公務で遅れるという連絡はあった。遅刻ではないので失礼だった。気持ちを（手紙で）伝えた」と述べた。【土屋渓】