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玄関や窓にネットを貼り付け、暴風雨や飛来物から建物を守る新たな台風対策が注目を集めている。ネットは、ハリケーン常襲地帯の米国・フロリダ州で開発された「ハリケーン・ファブリック・スクリーン」。日本の販売代理店がある石垣市内では、口コミで評判となり、ホテルなどで設置が進んでいる。同代理店の4、5月の2カ月間の売り上げは2千平方メートルを超え、昨年度分を既に上回った。大同火災海上保険は、大型商業施設での実証実験を検討している。(照屋剛志)
同スクリーンは、衝撃に強いトランポリンの生地を活用。窓や玄関など補強したい部分の外枠の数カ所にボルトを打ち込み、張り付ける。
サッシやシャッターと違い、布が衝撃を吸収するため、耐久性にも優れている。取り外しが可能で、建物の景観を損なわないため、リゾートホテルを中心に人気が高まっているという。
2008年から国内の販売を始めたハリケーン・ファブリック・ジャパン(石垣市)のワイコフ・ゲアリ社長は「昨年の台風5号や17号での効果が口コミで広がり、注文が増えた」と分析。ホテルだけでなく、マンションや個人住宅の注文も増加しており、売り上げはさらに伸びそうだ。
米国では、ハリケーンが頻繁に上陸するメキシコ湾沿岸部を中心に普及。被害抑制の効果が高いとして、設置している建物は火災保険料が最大で3割減免されるという。
県内では近年、台風被害が拡大しており、大同火災海上保険はハリケーン・ファブリックでの被害軽減策を検討。実証実験で効果が確認できれば、保険料の減免措置を視野に普及促進を後押ししたいとしている。
日本損害保険協会沖縄支部によると、昨年9月の台風17号では、保険金の支払額が過去最高の92億円を突破した。