海外での不倫ですが、日本の法律で慰謝料を請求されますか?
2011年03月03日 18時45分弁護士ドットコムお役立ち情報
海外在住(ドイツ)の日本人夫婦の妻です。
好きな人(日本人)ができ、それが夫に知れました。協議の結果、私たちは離婚することにしました。
夫は、私と相手に慰謝料を請求すると言っています。
ドイツの法律では、相手にも私にも慰謝料は請求出来ないそうです。(ドイツ人の弁護士さんに確認済み)
夫は日本で私たちを訴えて慰謝料をとると言っています。
日本で私たちを訴えることは出来ますか?(関係者は全員海外在住です。そしてすべては海外で起こったことです。)
もし、訴えられた場合、慰謝料を支払わなくてはなりませんか?
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- ありがとう
1 便宜上,訴えが適法に認められた場合の支払義務の問題から回答します。
本件では,ドイツ法と日本法のどちらが適用されるかによって結論が変わるので,どちらの法が適用されるか(「準拠法」といいます)が問題となります。
日本では,この準拠法については,法の適用に関する通則法という法律が定めています。
不貞行為による損害賠償請求の根拠は,不法行為(民法第709条)に求められるところ,不法行為に基づく損害賠償請求権の成立及び効力は,法の適用に関する通則法によれば,加害行為の結果が発生した地の法による,とされています(同法17条本文)。
加害行為の結果が発生した地とは,この場合は,ドイツと考えられることになると思われます。
そうすると,適用になる法律はドイツ法です。
したがって,もし,あなたが相談されたドイツ人弁護士がおっしゃることが正しいならば,日本の裁判所は,あなたや不貞相手に対して損害賠償を命じないでしょう。
2 これに対して,そもそも日本の裁判所がこの問題を取り扱うかどうかは,国際裁判管轄という問題です。
この問題については,明確にルールを定めた法律がありませんが,民事訴訟法の管轄の規定を参考として,原告となろうとする者(本件ではあなたの元夫)の裁判を受ける権利を考慮に入れて判断されることとなると考えられます。
そして,上記のとおり,不貞行為に基づく損害賠償請求は不法行為(民法709条)を根拠とするところ,損害賠償義務の履行地は債権者の現在の住所地であるので(民法484条),国内訴訟の場合,訴えを起こそうとする人の住所地の裁判所で裁判を起こすことができるとされています(民事訴訟法第5条1号)。
国際裁判の場合にも,この考えが適用される可能性が高いと思われます。
そこで,あなたの元夫が,既に日本に帰国しているのであれば,日本の裁判所に訴訟を起こすことも可能だと思われます。
ただ,上記1のとおり,ドイツ法で責任が発生しないことならば,たとえ訴訟を起こされても支払義務がないことになると考えられます。
2011年03月03日 19時28分
(質問者)
弁護士Aさま
早速の回答、ありがとうございます。
海外在住なので、日本の弁護士さんに相談出来ず、困っておりました。詳しく説明してくださったので、良くわかりました。
本当にありがとうございました。
2011年03月07日 02時54分
- ありがとう
単にドイツの男性に不法行為の慰謝料として請求するには、確かに準拠法が日本法ではなく、管轄も日本ではみとめられないでしょう。ただ、離婚の慰謝料請求として、夫が妻に請求する場合には、別の検討が必要だと思います。
その準拠法は日本の裁判所では日本法になります。日本人の夫婦の離婚は、日本の国際私法(準拠法を決める法律である法の適用に関する通則法)では、日本法となっているからです。そして、離婚にともなう財産的給付の問題であるから、離婚にともなう慰謝料請求の準拠法も、離婚が日本法なら日本法であるとするのが判例です。
次に、日本において裁判が可能か、国際的裁判管轄を考えてみましょう。
最高裁の平成8年6月24日判決は、「被告が我が国に住所を有しない場合であっても、原告の住所その他の要素から離婚請求と我が国との関連性が認められ、我が国の管轄を肯定すべき場合のあることは、否定し得ないところであり、どのような場合に我が国の管轄を肯定すべきかについては、国際裁判管轄に関する法律の定めがなく、国際的慣習法の成熟も十分とは言い難いため、当事者間の公平や裁判の適正・迅速の理念により条理に従って決定するのが相当である。そして、管轄の有無の判断に当たっては、応訴を余儀なくされることによる被告の不利益に配慮すべきことはもちろんであるが、他方、原告が被告の住所地国に離婚請求訴訟を提起することにつき法律上又は事実上の障害があるかどうか及びその程度をも考慮し、離婚を求める原告の権利の保護に欠けることのないよう留意しなければならない」といっているのです。夫がドイツにいるのに、ドイツで提訴せず、日本で提訴が認められるのかという問題はありますが、判例からは、原告が日本在住でなくても日本で弁護士をたてて開始すれば、この日本人夫婦の離婚訴訟については、日本の裁判管轄が認められることは可能性としては、あるのではないかと思います。
よって、夫が、日本で弁護士をたてて、奥様を被告とする日本における離婚訴訟の中で、奥さんと男性を相手に慰謝料を請求することは、ないとはいえないように思われます。もちろん、そんなめんどうなことをしないかもしれませんけど。
2011年03月07日 23時03分
(質問者)
松野先生
ありがとうございました。
そうのような可能性があるのですね。とても勉強になりました。
ドイツの弁護士さんが、
「あなた方は日本人だから離婚は日本の法律でしなさい。
でも、ここはドイツだから、ご主人はあなたにも相手にも慰謝料は請求出来ないよ」
と仰っていました。
様々な見解があるようですね。
法律は本当に難しいですね。
ありがとうございました。
2011年03月10日 03時30分
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