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無人の町、悲しき更新 福島・双葉死亡事故ゼロ3210日

立ち入り禁止指定で車の往来の絶えた双葉町の国道6号。死亡事故ゼロの記録更新を喜ぶ町民はいない

 福島県双葉町の交通死亡事故ゼロ連続日の記録更新が続いている。福島第1原発事故で立ち入り禁止区域に指定されて事故の起きる要因がなくなり、記録が上積みされる皮肉な結果だ。町関係者は「人の営みの消えた町の実情にふたをして、数字が加算されているにすぎない」と誰一人として喜んでいない。

 町の死亡事故ゼロの記録は13日時点で3210日。2004年8月29日に当時79歳の男性がトラックにはねられて亡くなって以来、死亡事故が発生していない。1000日前後だったそれまでの最長記録を上回り、記録を伸ばし続けている。
 3210日の中には、原発が爆発した11年3月12日以降の824日が含まれている。町は全町民が避難して無人化し、車の往来もなくなった。今も通行は原発、除染、警察関係者、一時帰宅の町民の車に限られ、死亡事故が起きる可能性は低い。
 町は記録更新中、1000日目、2000日目の節目に記念式を開いて無事故を祝った。12年11月に3000日目の式を催す予定だったが、原発事故で実現しなかった。賞状は埼玉県加須市の仮役場の担当者の机に保管されたままだ。
 町住民生活課は「記録を祝う関係者も安全を呼び掛ける住民もいない。皮肉でやりきれない」と話す。
 仙台市青葉区に避難する町交通安全母の会会長の主婦岡田三枝さん(56)は「素直に喜べない。記録更新は町に帰ることのできない日が積み重なることの裏返しで寂しい」と語った。


2013年06月14日金曜日


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