ついで質疑を行った新谷正義衆議院議員(自民党)は、生活保護法第一条
「この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする 」
に言及した。さらに「最低生活の保障」だけではなく、「自立を助長」が目的であることについて
「あらゆるものを稼動、活用することが要件であり、権利と共に、自立を目指して努力する義務がある」
という理解を述べた。新谷議員は、自立を目指しての努力については、
「国の税金による生活保護制度を持続可能なものにするために、自立の努力をしてもらう、できることをやってもらう」
ということであるとも語った。
田村厚労相・田中議員・新谷議員とも、「必要な人に対して生活保護を」までは否定していない。では、その入口となる申請手続きについて、いわゆる「水際作戦法制化」の懸念は、どのように払拭されているだろうか?
運用は変えないのになぜ改正?
申請手続きの厳格化が必要な理由
「水際作戦法制化」とも指摘される生活保護法改正案には、以下の条文がある。審議のプロセスで赤字部分が追加され、事実上の空文化とはなっているものの、解釈は、申請を受けた福祉事務所の判断となりうる。
保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
一 要保護者の氏名及び住所又は居所
二 申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名及び住所又は居所並びに要保護者との関係
三 保護を受けようとする理由
四 要保護者の資産及び収入の状況(生業若しくは就労又は求職活動の状況、扶養義務者の扶養の状況及び他の法律に定める扶助の状況を含む。以下同じ。)
五 その他要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
24条2項
前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。ただし、当該書類を添付することができない特別の事情があるときは、この限りでない。