Updated: Tokyo  2013/06/14 05:18  |  New York  2013/06/13 16:18  |  London  2013/06/13 21:18
 

円が対ドル93円台突入、異次元緩和後の下げほぼ解消-株安で

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  6月13日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では、円が対ドルで一時1ドル=93円台に突入し、日本銀行が異次元の金融緩和を4月に発表して以来の下げ幅をほぼ解消した。日本株 の大幅続落による投資家のリスク許容度減退が円買いを促したとみられている。

この日は朝方から円買い優勢の展開で、午後4時28分現在の円は主要16通貨全てに対して前日終値比で上昇している。ドル・円相場は午後の取引終盤に93円79銭まで円が買われ、日銀の「質的・量的金融緩和」が発表された4月4日以来の円高値を更新した。ユーロ・円相場も円が午後から一段と上昇し、一時は1ユーロ=125円52銭と約2カ月ぶりの円高値を付けた。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、ドル・円の動きについて、「短期的にドルが買われ過ぎていたことから、6月末の米ファンド決算期末などを控えて、持ち高調整の動きとなっていることがある」と指摘した上で、「株価が値崩れすると、リスク許容度が減退して、円が買われている」と述べた。

この日の東京株式相場は大幅に続落し、TOPIX 、日経平均株価 とも5月23日に次いでことし2番目の下げを記録した。東証1部33業種は全て安く引けた。この日の東証1部の時価総額は約363兆円と、今年の最高水準である約442兆円から79兆円程度目減りしたことになる。

円安要因になる可能性があるとして市場関係者の間で一時注目された日本の投資家の外国債を買う動きは、この日の財務省の統計でも確認できなかった。同省が発表した対外・対内証券売買契約などの状況(週間、指定報告機関ベース)によると、国内投資家は海外の中長期債を6月8日の週まで4週連続で売り越した。 

ドルは円以外の通貨に対しても下落している。主要6通貨に対するドルの動きを示すインターコンチネンタル取引所のドル指数 は一時80.5前後と、終値ベースで2月19日以来の低水準を前日に引き続き更新した。

米量的緩和縮小観測 

5日の安倍晋三首相による成長戦略の発表を最後に、ドル・円の方向を見極めるための市場の注目が日本から米国へと大きく傾きつつある。みずほコーポレート銀行の岩田浩二バイスプレジデント(ニューヨーク在勤)は「アベノミクスの3本の矢というのも出て、多少この間失望感などが出たりして、米国サイドでも緩和策縮小の話は政策の一つのシフトではあるので、大きな転換点になる」と言う。

米連邦公開市場委員会(FOMC )は現在、月額850億ドルのペースで進めている債券購入の縮小時期をめぐり議論を続けている。サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は先週、「早ければこの夏にも、当局の購入プログラムに対する何らかの調整、恐らくは下方向への幾分の調整があり得ると思う」と指摘。

一方でアトランタ連銀のロックハート総裁は、最近の経済指標について「依然として非常にまちまちな内容だ」と発言。債券購入ペース鈍化の検討時期については「私ならもう少し慎重に考えて8月か9月、もしくは年末までにと言うかもしれない」と述べていた。次回のFOMCは来週開かれる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証の植野氏は、「米国の経済指標で良い数字が出ると、量的緩和の早期縮小懸念が強まり、株価が調整してしまう。米ドル建ての過剰流動性の分散ペースを縮小できるほど、米国の景気が立ち直っているのであれば、普通なら業績相場に移行してもおかしくないのだが、金融緩和頼みとなっており、不安定な状況となっている」と言う。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 崎浜秀磨 ksakihama@bloomberg.net;東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2013/06/13 16:34 JST

 
 
 
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