電力システム改革のための電気事業法改正案が13日、衆院で自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決した。2015年に全国で電力需給を調整する広域運用機関を設立するのが柱。参院に送付して今国会で成立する見通しだ。18~20年の完成を見込んで3段階で進める60年ぶり大改革の第一歩にようやくメドをつけたが、完全自由化に向けてなお課題は残る。
電力システム改革は、地域ごとの大手電力による独占を崩して電気契約の選択肢を増やしたり料金を抑制したりするのが狙い。消費者が全国から自由に電力を買うためには、他地域からの送電体制を整える必要がある。
改革の第1弾の柱は、15年に設置する電力の広域運用機関だ。同機関は周波数変換設備など、地域をまたぐ送電インフラの増強を担う。発電所の事故などで、ある地域の電力が不足した場合には全国からの融通を指示する権限も持たせる。
平時から各電力会社の発電量を把握して、緊急時のたき増しや需要の抑制を指示する。中立性を保つために新規参入の電力会社も含めて幅広く資本、人材を受け入れる。詳細設計はこれからだが、役員の選任、解任は経済産業相が認可する方針だ。
企業が自家発電を使いやすくする規定も新設する。自家発電した電気を自社の工場に送る場合、大手電力会社が送配電網を貸し出す義務を課して使用料金を規制する。現行制度では送電網の貸し出しは電力会社の判断に委ねられ、企業が電気をたくさんつくっても消費できる保証がなかった。
電気の利用者に対する罰則なしの節電勧告も創設する。いまは違反すると罰金を受けかねない「命令」しかなく、発動しにくい問題があった。
法案の付則には3段階で進める改革の道筋を明記した。第2弾は16年の電力小売りの参入自由化で、家庭向けの電力供給の地域独占をなくす。最終段階は18~20年で、電力会社の送配電部門の中立性・独立性を高める発送電分離を実施する。政府は14年と15年の通常国会でそれぞれ第2弾、第3弾の関連法案の提出を目指している。
電力業界は「資金調達に悪影響を及ぼす」として組織の改編を迫られる発送電分離に強く反対しており、残す2回の法案提出も一筋縄ではいかない。電力システム改革の発端は、東日本大震災後に東京電力が計画停電に踏み切ったことで大手電力に頼らない体制を求める機運が高まったことにある。今後、原子力発電所の再稼働が進み電力供給に余裕が出てくれば改革の機運がしぼみかねないと危惧する声もある。
東京電力
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