本日、沖縄県議会で臨時議会を開き意見書と決議を可決しました。
「橋下日本維新の会共同代表の風俗業活用提案発言に関する謝罪を求める抗議決議」を賛成多数で可決しました。また、「米軍F15戦闘機墜落事故に関する意見書・抗議決議」も全会一致で可決しました。
日本共産党沖縄県議団を代表して西銘純恵議員が「橋下氏発言の抗議決議」に対する賛成討論を行いました。
日本共産党県議団を代表して,橋下維新の会共同代表に謝罪を求める抗議決議に賛成の討論を行います。
日本維新の会代表の橋下徹大阪市長の発言は、アジア・太平洋戦争中の日本軍「慰安婦」問題に関連して、慰安婦制度が「軍隊にとって必要だった」と積極的に弁護し、性犯罪が絶えない在沖米軍に対し、「風俗業の活用を」と進言したのです。基地あるがゆえの米軍犯罪・性暴力に対する真摯な認識も反省のかけらもない、女性の人権を蹂躙し、人間としての尊厳を踏みにじる言語道断の暴言です。市長としての公人としてだけでなく、人間として許せません。
橋下氏は、これまでも日本軍の「慰安婦」問題で「強制連行のような事実はなかった」との発言を繰り返して批判を受けてきましたが、軍隊に「慰安婦は必要だった」と公言するのは、とんでもありません。橋下氏は、戦争遂行のために女性の性を利用するのは当たり前などと言うのは、女性を性の対象にするだけで人間として扱わない許せない暴言です。
日本が、アジア・太平洋戦争のさなかに、植民地とした朝鮮半島や軍事占領した中国や東南アジアから女性を連行し、日本軍が管理する慰安所で日本兵による強姦や売春を強制した言うのは、「慰安婦」とされた女性たちの数多くの証言が示すように動かしがたい事実です。
橋下氏の暴言の翌日、沖縄県女性団体連絡協議会、沖縄県婦人連合会など県内25の女性団体は緊急抗議声明を発表しました。
橋下氏は、大阪市長であり国政政党である維新の会代表、そのうえ弁護士であります。弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする職業です。5月27日には地元大阪弁護士会が、「公人が、戦時下の性暴力というもっとも深刻な人権侵害を正当化し、また、女性の人としての尊厳を深く傷つける発言を行ったことは、極めて不適切といわざるを得ない」「人権を軽視する風潮を助長し、人権侵害を容認するような発言をしたことに強く抗議する」という会長声明を出しています。沖縄弁護士会でも会長声明がでています。
国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会では、5月21,22日に行った日本に対する審査で、「大阪市長の慰安婦発言」に「到底受け入れられない」と厳しい指摘があったことや、6月4日には、日本弁護士連合会会長が、国連拷問禁止委員会の総括所見に関する声明で7項目の勧告を出しています。勧告のその7点目に、「戦時性奴隷制(いわゆる日本軍「慰安婦」)について、政府関係者その他の公的立場にある人物による被害事実を否定する動きに反駁すること」を求めています。
橋下発言に対して、海外からは、韓国放送公社が「侵略否定の妄言に続き、慰安婦制度は必要だったという極限まで出た」と報道し、米国務省のサキ報道官から「言語道断で侮辱的」と非難され、中国など20か国68団体から発言撤回と謝罪要求が出され、県内、国内、世界に抗議の声が広がっています。
橋下氏は、米兵による性犯罪が絶えない沖縄で、5月1日、米海兵隊普天間基地視察の際に「風俗業の活用」を基地司令官に進言して、同基地司令官が「凍りついた」といっています。その理由は明確です。買春行為は米軍内で違法とされ、軍法会議の対象になるからです。
1995年9月に県内で米兵による少女暴行事件が発生した際、当時のマッキー太平洋軍司令官が「(犯罪で使用した)レンタカーを借りる金で女を買えた」と発言し、県民の怒りの抗議を受け、同司令官は、ただちに更迭されました。
日本軍「慰安婦制度」の肯定に行きついた橋下氏が、米軍の犯罪をとがめるのではなく、『風俗業』の活用を進めたのも、安部首相ら侵略戦争を肯定する「靖国派」と、まさに根っこは同じです。日本の戦争責任に無反省な態度は国際的に孤立することは明確です。
橋下氏の発言は、沖縄県民の総意である普天間基地の閉鎖・撤去に反して、米海兵隊の沖縄駐留、基地の固定化を前提にしたものにほかならず、米軍犯罪を擁護するものであり県民は断じて許せません。
沖縄県民は、日本軍による住民虐殺、戦後も、復帰後も米軍基地が置かれ続けたことによって、米兵の性犯罪・性暴力の犠牲になり、死に至らしめられた事件も相次いで起きました。軍隊によって幾多の犠牲を被った歴史を無視した、非道な発言を、沖縄県民として、到底看過できません。
「慰安婦」問題について、これまで橋下氏は「強制連行」の事実をゆがめてきましたが、今回はさらに踏み込んで制度の「必要性」を説くところまで暴言をエスカレートさせています。「日本政府自体が暴行脅迫をして拉致したという事実はいまのところ証拠で裏付けられていない」という発言は、問題のすり替えです。
1993年8月4日の河野洋平官房長官談話において、「慰安婦問題は、当時の軍関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。我々は、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」としています。
1998年の国連人権委員会差別防止と少数者保護小委員会においては、慰安婦は事実上の奴隷制度であり、「当時ですら、奴隷制度を禁じた慣習的国際法に明らかに違反していた」という報告書を採択しています。
慰安婦制度は、女性を人間として扱わず、人権を著しく侵害した犯罪行為として国際機関は、繰り返し、日本が責任を認め、謝罪することを求めています。
6月4日、歴史学者の吉見義明教授が、慰安婦の歪曲引用に撤回と謝罪を求めて公開質問状を提出したと報道されました。
吉見氏は、1990年代以降の日本国内での「慰安婦」裁判や、東京裁判の判決でも日本軍が女性に性の相手を強制した事実。日本軍「慰安婦」制度は、外出、居住、廃業、拒否の自由がない「性奴隷制」であり、制度を設置・運用した国の責任が問われている、と根拠となる公文書をつけて、市長の認識をただしています。
記者会見に同席した大森典子弁護士は、「国際社会が問題にしているのは、日本が国家・軍の意思として慰安所の制度を造り、そこで女性たちが奴隷的状態に置かれたことだと」指摘しています。吉見氏は、橋下氏の「国が暴行、脅迫、拉致をして女性を連れてきた事実はない」という発言に対し、「業者が詐欺や甘言、人身売買で女性を連行したのを軍が認識したら女性を解放すべきだが,そうしなかった。官憲に連れて行かれた証言もある」と旧日本軍の責任は免れないと述べ、「いろんな国で慰安婦制度というものを活用していた。」発言にも、吉見氏は、軍の施設として組織的に慰安所を造った国はほかにない。日本の慰安婦制度は特異だった」と明確に否定しています。
橋下維新の会代表・大阪市長の暴言は、公人としても失格であり、公職を辞すべきだというのが世論となっています。橋下氏の発言の撤回と謝罪を求め、抗議決議に賛成の討論とします。