米国債:10年債利回り、1年2カ月ぶり高水準付近-入札低調
6月12日(ブルームバーグ):米国債相場は下落。10年債利回りは1年2カ月ぶりの高水準付近で推移した。金融緩和の規模が縮小されるとの懸念が広がる中、10年債入札(規模210億ドル)では需要が昨年8月以来の低水準にとどまったことが背景にある。
最高落札利回り は2.209%と、2011年10月以来の高水準。入札直前の市場予想は2.195%だった。投資家の需要を測る指標の応札倍率 は2.53倍と、過去10回の入札で最も低かった。金融緩和を縮小できるほど経済は十分に成長しているとの見方から、10年債利回りは5月以降上昇基調にある。
BNYメロン(ニューヨーク)の資本市場部門で米国債トレーディングの責任者を務めるダン・マルホランド氏は、「今回の応札はやや手控えられた」と指摘。保有債券の価値下落で「かなりの痛手を被っている」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、既発10年債利回り は前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.23%。同年債(表面利回り1.75%、償還2023年5月)価格は3/8安の95 3/4。
30年債利回りは6bp上昇の3.37%。
BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニューヨーク在勤)は「10年債への買い意欲が薄いため、30年債入札への期待も弱まっている」と述べた。
債券購入米金融当局は米国債と住宅ローン担保証券(MBS)を毎月850億ドル相当購入している。この日は2023年8月から31年2月に償還を迎える米国債を9億1600万ドル買い入れた。これはディーラーが差し出した42億ドルの21.8%に相当し、その比率は1月以来の低水準。
ブルームバーグが先週まとめたエコノミスト調査によれば、金融当局は月間の資産購入総額を10月に650億ドルに減らすと予想されている。
連邦公開市場委員会(FOMC)定例会合は18-19日に開催される。
この日の10年債入札では、海外の中銀を含む間接入札者の落札全体に占める割合は51.7%。過去10回の平均は35.8%だった。
プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入札者の割合は11.7%と、昨年9月以来の低水準。過去10回の平均は21.2%。
プライマリーディーラーの比率は36.6%。5月の入札では49.2%と、1月以来の高水準だった。
「不安心理強まる」モルガン・スタンレー・スミス・バーニーの債券ストラテジスト、ケビン・フラナガン氏(ニューヨーク州パーチェス在勤)は「この水準では強い需要はあまりないようだ。確信が薄れ、不透明感が強まっている。特にFOMCを控え、不安な心理が強まっているようだ」と語った。
米経済に回復兆候が表れているため、今年の米国債入札では需要が弱まっている。ブルームバーグのデータによると、年初からの中長期債の入札(発行総額9580億ドル)の応札倍率は2.97倍。2012年は3.15倍と過去最高だった。
財務省は13日に130億ドル相当の30年債入札を実施する。
原題:Treasuries Drop After Note Sale Draws Lowest Demand in 10Months(抜粋)
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更新日時: 2013/06/13 06:53 JST