トルコ:反政権デモ拡大 「イスラム色強化」に反発
毎日新聞 2013年06月04日 12時57分(最終更新 06月04日 13時18分)
AKPは、中道右派の穏健なイスラム主義政党とされてきたが、最近はメディア規制の強化やモスク(イスラム礼拝所)の建設拡大を強硬に推し進め、世俗派市民が反発していた。
また、所得格差の問題もある。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、加盟34カ国のうち所得格差が最も大きかったのはチリで、メキシコ、トルコの順だった。エルドアン政権は緊縮財政や金融構造改革などを断行してインフレを大幅に改善。10年の経済規模は欧州6位となるなど経済成長を遂げたが、貧富の格差も拡大した。
◇世俗派の若者が参加 イスラエルのシンクタンク「バン・リール協会」のアナト・ラピドト・フィリラ上級研究員(トルコ研究)の話
デモ参加者の多くは世俗派の若者だ。2年前にイスラエルで起きた経済格差に不満を抱く若者らによる大規模デモに似ている。
政治的には右派も左派もいるが「真の民主主義」を求めている点で共通している。トルコではメディアへの規制が強い。最近、政権はアルコールの販売の一部規制や、宗教を教育課程に組み込むなど保守的な「倫理観」を押しつけるような動きも目立ち、不満が高まっていた。
だが、彼らが支持したいと思える政党もない。首相や政権党に対する社会の監視機能「チェック・アンド・バランス」がもはや存在しないことに、彼らは怒りと恐れを感じているのだ。