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【サッカー】

<目撃者>怒る長友「ブラジルなら前半3失点」

2013年6月13日 紙面から

 試合前のコイントスで、主将のFWユーニスが選択したのは「風上」だった。吹き荒れる砂混じり、風速12メートルの熱風。それに乗じて、イラクが力任せに攻めてくると、日本はたじろいだ。奪ったはずの球を長友が奪われた。伊野波は慌てた。今野の位置取りは安定を欠いた。そんなはずじゃ…。守備陣に広がる不安の連鎖が猛攻の合図となってしまった。

 「相手のレベルが高く、いろんなバリエーションで攻め込まれた」とは今野の弁。ただ、見過ごせない危機もあった。

 前半11分、細貝の凡ミスが絶命の危機を呼び、同19分にはクリアを頭でつながれ、ハマディはGK川島とあっけなく1対1になった。前半終了間際にも、あわやのシュートを2本も許した。「割り切って耐えた」(川島)が、強者にあるべき危機管理という発想はなく、目を覆わんばかりの守備のもろさだった。

 「ブラジルが相手なら、前半だけで3点取られてもおかしくない。イラクには失礼だが、このレベルで苦戦していたら厳しい。このレベルで1対1で負けていたら、ブラジルに勝てるわけがない」。勝利への評価はあっても、長友の怒りはもっともだろう。

 原因は何か? 「嫌な取られ方、その対応が続いた」。香川はそう嘆いた。さらに「(コンフェデでは)今日のような試合はできない。(相手のレベルが)全然違う」。その言葉通り、守備に追われる時間があまりにも長すぎた。奪っても奪われ、攻められ続ける悪循環。ボールが前線に収まらない。ああ、本田がいれば…。どんな状況であっても、本田がいれば息をつく時間をつくってくれるのに…。そんな思いが頭の中を駆けては消え、消えては浮かぶ。

 「後ろからビルドアップして、きれいに崩すことはまったくできなかった」。今野はそう振り返ると、こう続けた。

 「ボールを収められないのは前線だけの問題じゃない。チームとしてボールを運ぶことが少なすぎた」

 好調時を思い出してほしい。今野、吉田のセンターバックがやや開いた位置を取り、フワフワと浮遊するように遠藤が「間」に入って前後左右に球をさばく。相手を動かし、いなして、スキを突く−。そのために、最終ラインには守備だけでなく、配球役も求めていたのではないか。

 揺らいだ守備とは表裏一体。コンフェデ杯を前に、攻撃の「初手」がかすんでいるのが気になる。 (松岡祐司)

 

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