習主席は約40分にわたり尖閣や歴史問題に関する中国の主張を一方的に述べたり、1時間にわたりペーパーを読み上げながら同様の発言を続けるなど、何とか米国を自国側に取り込もうとしたが、完全に失敗した。
現在、尖閣諸島周辺では、中国海軍艦艇や国家海洋局所属の公船が活発に活動し、日本への挑発を繰り返している。13日も海洋監視船3隻が領海外側にある接続水域を航行した。中国当局の船が尖閣周辺で確認されたのは5日連続となる。
そんな緊張下でのオバマ大統領の「同盟」発言は、尖閣諸島が米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象であることを、習主席に認識させる意味がある。日本政府は「米側はわが国の立場を踏まえながら対応している」と歓迎している。
ただ、これで中国の侵略・拡張主義が止まることはなさそうだ。
国際政治学者の藤井厳喜氏は「ドニロン米大統領補佐官によるブリーフだけでは不安だったが、『オバマ大統領は最低限のことは中国に言ってくれた』という印象だ」といい、続ける。
「本来なら『尖閣に手を出したら、米国と戦うことになるぞ』ぐらい言ってほしかった。まあ、オバマ大統領も価値観をともにし、同盟を結ぶ日米関係と、そうではない米中関係の質の違いは認識しているようだ。『米中新冷戦時代』がはっきりしたともいえる。ただ、これで中国が東シナ海や南シナ海への野心を捨てることはない。習主席は国内に向けにも『俺は米国に言うだけのことを言った』といい、尖閣周辺への挑発を続けるだろう。中国はさまざまな矛盾を抱えており、『反日』を誇示しなければ国内が持たず、習主席も引きずり下ろされる。日本は自国を守る覚悟をしなければならない」