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「福島の子ども、12人甲状腺がん」の謎

東洋経済オンライン 6月9日(日)6時0分配信

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「福島の子ども、12人甲状腺がん」の謎

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「福島の子ども、12人甲状腺がん」の謎
甲状腺検査について議論する検討委員会(写真は星座長)

■ 12人の子どもが甲状腺がんの診断、別途15人が疑い

 2011年3月の原発事故時に0〜18歳だった子どもを対象に実施されている福島県による甲状腺検査で、これまでに12人が甲状腺がんと診断された。12人とは別に、甲状腺がんの疑いのある子どもも、15人にのぼっている。

【詳細画像または表】

 これは、6月5日に福島県が開催した「県民健康管理調査検討委員会」(星北斗座長)で報告された。

 甲状腺検査の責任者を務める福島県立医科大学の鈴木眞一教授は昨年の『週刊東洋経済2012年6月30日号』インタビューで、「通常、小児甲状腺がんが見つかるのは100万人に1〜2人程度。1986年のチェルノブイリ原発事故で小児甲状腺がんが多く見つかったのは被曝の4〜5年後からで、発症までに一定のタイムラグがある」と語っていた。

■ がんの発見率は、定説の100倍以上にも

 だが、今回の調査で甲状腺がんが見つかった子どもの数は「100万人に1〜2人」どころか、その85〜170倍にものぼる。

 この倍率は、11年度に1次検査を実施した4万0764人を分母として設定。一方、分子には「悪性、悪性疑い例数11人」(右上表)のうちの、7人(甲状腺がんが確定した子ども)を設定して、計算した場合の数値だ。

 鈴木教授は記者会見での「(甲状腺がんは)多発と言えるのではないか」とのフリージャーナリストの質問に対して、「最新の超音波機器を用いて専門医が実施したうえでの発見率。想定の範囲ではないか」と述べているが、実際のデータは「100万人に1〜2人」という従来の説明からは、かい離がかなり大きいようにも見える。

 福島県によれば、甲状腺検査の対象となる子どもは全部で、約37万人だ。

 11年度からの2年間では、約17万5000人の子どもが超音波検査(一次検査、11年度4万0764人、12年度13万4735人)を受けており、そのうち5.1ミリメートル以上のしこり(結節)が見つかったことなどで精密検査(二次検査)の対象となった子どもは、1140人(11年度分205人、12年度分935人、2つの表参照)にのぼる。

 そのうち、すでに二次検査を受けた421人から27人が「甲状腺がんまたはその疑い」とされた(11年度11人、12年度16人、2つの表参照)。

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最終更新:6月9日(日)6時25分

東洋経済オンライン

 

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