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走るリニア見られない? 騒音対策、地上区間に覆い構想
2013年06月12日10:00
写真:走るリニア見られない? 騒音対策、地上区間に覆い構想
山梨リニア実験線のガイドウエーの一部を覆ったコンクリート製のフード=3日、山梨県笛吹市

 時速500キロで走行するリニア中央新幹線が見られないかもしれない。JR東海が車両の風切り音による騒音対策のため、リニアが走行するガイドウエー(軌道)の地上区間に、半円形のコンクリート製フードをかぶせる方針を示しているためだ。フードが地上の全区間か、一部にとどまるかは明らかになっていないが、中津川市など沿線からは、走行風景を見学できるように配慮を求める声が上がっている。

 JR東海によると、2027年に開業する東京−名古屋間の総延長は約286キロ。ほとんどがトンネルや地下を走行し、地上走行は1割強の約38キロにすぎない。

 フードを透明化する要望も寄せられているが、JR東海は「現段階で騒音対策にはコンクリート製が最も良い」としている。山田佳臣社長は5月の定例会見で「環境対策を万全にしないといけない。リニアを見てもらえる形を取れるのか勉強したい」と理解を求めた。

 中間駅が建設される中津川市。中津川商工会議所は市民の関心を高める目的も兼ねて「リニアの見える丘公園建設基金」を今年3月に創設した。

 市内には、中間駅のほかに車両整備工場なども建設されることから、同会議所は「リニアを見るという観光が生まれる」と14年後を描く。ガイドウエーすべてがフードで覆われても「整備工場への引き込み線では高速走行しないだろう。フードは必要なく、リニアの走る姿を見えるはず」と期待を寄せる。

 一部の区間でフードが設置された山梨リニア実験線のある山梨県。フードを視察した同県の横内正明知事は5月中旬の定例会見で「下水道管のようだ」と不満を漏らした。

 騒音対策に理解を示しつつも「外からリニアを、リニアに乗る人には甲府盆地が見られるような、そんな環境基準を満たすフードの技術開発を要請している」と発言している。