コンビニのおにぎりが変わり映えしない理由

「私は〇〇王!」バイク王×はてなブログお題キャンペーンとのことなので、俺もなんか王になってみようと思ったんですが、せいぜい包茎王くらいしか思いつきません。しかしソースも出さずに王を名乗ったところで「おまえ比較もなしにそんなもの名乗るなんておこがましいにもほどがあるよ」という抗議が殺到しそうです。「じゃあみんなでくらべっこしようよ」っていうことになったらもう目もあてられません。そこに地獄がある。なおソースを提示したところでやはり地獄だと思います。ハス太くんとくらべっこしたいです。これで俺もJTBなんとかなんとかが3万円分もらえるんじゃないでしょうか。ピクシブで「兜合わせ」で検索かけるといいことあるんじゃないかと思います。結果には責任持ちません。

 

 以下本文です。すごい長い(通常運行)。

 とまあ、このへんで7割くらいの人がタブ閉じてどっか行ったんじゃないかなあと思うところで本題に入りたいと思います。ハス太くんとくらべっこしたいです。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130605/249196/

 つーわけでこちら。

 コンビニの社会的使命は国民の健康増進だそうです。私企業なのでそんなもん知るかといいたいところですけども、ふつうの人の食生活におけるコンビニ飯の占める比率は無視していいもんだとも思えないし、なにしろでっけー企業ですので、なんらかの社会的使命感は持ったほうがいいのかもしんないです。よし、持とう(てきとう)。

 健康がらみのことでいうと、某青いチェーンなんかだと、中高年を意識した品揃えということでは、かなり必死にやってるんじゃないかと思われます。ブランを使ったパンですとかデザートですとか。ほかにもなんかいろいろあったと思うんですけど、売れねえんで全部忘れた。

 というわけで、どこからどう突っ込んだらいいかなあって考えたんですけど、よくわからないので、リンク先の文章読みながら逐次突っ込んでいきたいと思います。

 

 えーと、コンビニのおにぎりにここんとこイノベーションが起きてないのは事実だと思います。流れとしては、海苔が分かれててパリっとした感じのやつのあとは、ちょっとどっちが先か覚えてないんですが、直巻きか赤飯が来てたと思います。直巻きってのは、最初から海苔が巻いてあってしっとりしてるやつですね。店にもよると思いますけど、パリッとした海苔のやつと直巻きでは、比率としては前者が7割……か6割ってとこじゃないかなあ。うちみたいに年寄り多い立地だともっと直巻きの比率上がると思う。

 んで、直巻きの次に来たのが高級化ですね。これは青いチェーンが先鞭つけたんでよく覚えてます。そこに至るまでに、100円セールとかの値引き競争があって、こりゃいかんと。なんとかせにゃいかんということで、品質がしっかりしていれば単価が高くても売れるんじゃないか、ということになった。んだと思う。実際、定着しかけたんですが、完全に根付いたかっていうとちょっと厳しいとこですね。結局人は低単価に流れてくってのはありますので。

 それが10年くらい前なのかな。よく覚えてねえや。そこから先はほんとにイノベーションってなかったんですけど、最近ちょっとずつ伸びてきてるのが店内厨房による「つくりたて」のおにぎりですね。これはスリーエフが最初だったと思いますけど。あ、いやまて。デイリーヤマザキの実験店のほうが先だったかも。某青いチェーンも始めてますね。これは店舗ハードの改装を伴うので、そう簡単に普及しないとは思いますが、将来性って点ではガチだと思います。

 

 んで次に改善点の問題ですね。えーと……引用……めんどくさ……。

 

1.ボリュームと大きさ。今のコンビニおにぎりの量とサイズは妥当か。

2.形。スタンダードとなっているあの三角形や球形は、果たして理想形なのか。

3.温度。冷たいおにぎりは美味しくない。なんとかならないのか(衛生上の都合はわかるが)。

4.栄養バランス。これはおにぎりだけで食事を済ますとき、常に頭をよぎる問題だ。

 

 とのことです。

 これについてですが、実質すべてはすでにやっちゃったことですね。あー単品で「小さいサイズ」ってのはまだやったことないかもしれない。ただ、いろんな味の小さいサイズのおにぎり3個入りとか、栄養バランス重視のやつってのはいろいろ試行錯誤してると思いますね。で、なんで店頭でそれが目立たないかというと、一口でいうと「売れねえ」の一言に尽きるからです。シーマヨやら鮭やらにはどうあがいたって勝てない。というより、最低発注単位の2個とかでも廃棄になる店多数で、本部が「新規顧客獲得のために是非」とおすすめしても、店側としては廃棄出したくないですから、早々に発注をやめます。そういうレベルで売れません。

 ただ、そうやって作られた「女性向け」「高齢者向け」「栄養バランス重視」の商品が、商品として魅力的だったかというと、ちょっとそうは思えない部分ありますね。「がんばってんだろうけど、なんかピンぼけしてる」というのが正直な印象です。そういう意味では改良の余地あるのかも。

 で、なんで売れないかなんですが、商品力の弱さ以外の観点では、単純にいうとコスパ悪いからです。このへんはコンビニの米飯の生産体制の問題もあります。全国に均一な品質の商品を大量に届けるとなると、工場生産になるわけです。俺は実際に工場の中を見たわけじゃないので断言はできないんですが、串おにぎりなんてもんを作るとなれば、なんか新しい生産ラインを用意しなきゃまず難しいと思われる。長期的に見て回収できるなら設備投資もするでしょうが、後述する理由によって、冒険するにはちょいと価しないんじゃないかと思われます。

 あと、加温ケースでの販売ですが、焼きおにぎりくらいなら可能なんじゃねーかなーと思うんですけども、米飯を加温で売るとなると、賞味期限の問題が出てきます。いまのところ加温ケースはものすごく強まったこたつの電熱線みたいなもので加熱してるわけなんですが、あそこに米飯関連のもの入れたら、たぶんすぐガビガビになります。賞味期限にして最低でも4時間以上ないと、ちょっと全チェーン的にやるのはかなり厳しいです。4時間でもたいていのオーナー逃げるよな。加湿機能のある新しいケース(中華まん什器みたいなの)とか入れれば可能かもしんないですが、設備投資アホみたいにかかるしねえ。まあ新型什器があって、なおかつ商品力がありそうに見えたら、俺なら特攻するかもしれない。……あれ、焼きおにぎりって過去になかったっけ。どうでしたっけ>青いチェーンの内部の方々

 

 さて、次に現行のおにぎりが最下位だった理由についてです。

 これも単純な話で「みんな食ったことある」からです。商品にはライフサイクルというものがございまして、コンビニ関係者はABC分析とか聞いたらなんとなく耳が遠くなったりするかもしれませんが、だいたいの商品は発売したら2週間ほどで寿命が尽きてだれも買わなくなります。最近は1週間もたない店多いような気もする。つまり「見たことないもの」に対する評価というのは非常に高くなります。しかし「見たことないもの」は「すぐに飽きられるもの」でもあります。一度食ったら終わる。

 現行のおにぎりでいちばんの売れ筋は、店によってばらつきはあるでしょうが、いずれ105円のパリッした海苔のタイプのやつのどれかだと思うんですよ。ほとんどの店はシーマヨ(ツナマヨでもいいが)のはずです。売場や商品構成が現状のようであるのには理由があって、売れ筋というのは何年にも渡る淘汰を勝ち抜いてきた「鍛えられた」商品なわけです。とはいえ、食ったことあるものをいまさら「すげえ」って評価する人もいないでしょう。だってコンビニ行きゃあるんだから。

 もちろんそれにいつまでも依存してたら新しいことは始められません。しかし新しいことにはリスクが伴います。そのリスクをどう評価するかですが、残念ながら経験則に基づくリスク判断以外に方法がない。まあ専門店の動向とか、実験店の成果なんかもあるでしょうが、大々的に新しい方法論を導入するなれば、そりゃ慎重にもなります。

 あと、衛生管理の問題もありますね。カウンターで販売する食品ってなかなか法律関係がやかましくて、新しいことしようとするとあちこちで引っかかります。

 そういうさまざまな障害を乗り越えてまで「串おにぎり」というものを販売するメリットがあるかといえば、たぶん「ない」というのがチェーン本部の判断だったんでしょう。

 おにぎりに朝食需要のみならず昼食需要もある、というのはそのとおりで、おそらく朝需要が最大って店はむしろ珍しいほうなんじゃないかと思います。まあこのへんは「魅力のない商品を作ってるからだ」といわれればそのとおりなんですけども。ただこのへんは客層の問題とも絡んでくるんですが、とにかくコンビニチェーンは全国に大量の画一的な商品を送り込まなきゃなりません。そこで女性客層なんですが、コンビニ全体の客数に占める女性客、それも朝需要ということになると、相当に限定的と言わざるを得ません。まあ例によって具体的なソースは出せません(つーかそんなもん持ってねえ)が、たとえば某青いチェーンでいうと「標準的」とみなされる店舗は住宅街立地です。住宅街立地はもともと朝食需要があまりありません。朝は時間が惜しいというのはそのとおりなんですけども、時間が惜しければそもそも朝コンビニに寄る時間も惜しいのです。結果として、コンビニに朝食需要があるとしても「前日の夜に菓子パンを買う」みたいな需要のほうが強くなります。コンビニで朝食を買う場合の最大の問題点は「食べる場所」なんですが、一般的とみなされる住宅街立地の場合、コンビニで買ったとしても、食べる場所がありません。せいぜい職場ですけど、だったら職場のそばにある店で買う。対策としてイートインスペースを持った実験店は決して少なくないんですが、一定以上に数が増えないのは、異業種に負けて大した成果が出ないからです。そりゃコンビニで買って店内で食うくらいだったらマックで食うでしょっていう。そんで飲食専門の業態には、コンビニは太刀打できませんからね。

 ちなみにコンビニ全体でいうと、主要客層はおっさんです。特に現場で働くおっちゃん。セブンイレブンは朝食需要において圧倒的なまでに強いですが(爆発しろ)、これは朝食をコンビニで買う主要客層である車で移動するはたらくおっちゃんたちの支持が絶大だからです(爆発しろ)。そうでなくても、売上の相当の部分をおっさんが占めてます。女性向けがデザートに特化してるのは、それが「現実的に」女性を惹きつけるのに大きな武器になるからです。あと女性はなんだかんだ言ってコンビニで買うくらいだったら自分で作るし、コストパフォーマンスの意識が男性とは比較にならないくらい高いので「コンビニで300円払って食えるもの」と「飲食専門の業態で300円払って食えるもの」を厳密に比較してきます。デザートが比較的好調なのは、逆にいえば大量生産のメリットによって、コストパフォーマンスの高い商品を提供できてるから。「全部を取る」ことはできない以上、より確実な分野を狙っていくのは当然でしょう。

 

 とまあいろいろ書いてきましたけど、俺もイノベーションの必要なしとは思ってません。ただ、必要なのは金だってことです。たとえ生産ラインが充実して商品開発ができるようになったとしても、そもそもが「ふつうのおにぎり」にくらべてコストのかかる商品ですから、そのぶんは売価に上乗せされる。そして高いものは結局売れません。日常的に食うものに関して、この「結局安いものが売れる」っていうのは、もう景気とも収入ともあんま関係ない思う。無関係とまではいわないけど。だってさー、俺バブルの末期からコンビニやってるけど、バブル期ですらも結局安いもんが売れたもん。牛乳だけはブランド信仰があったのか安いPBよりも高い雪印のほうがよく売れたけど。

 で、ここまで何度も「大量生産」「画一的」みたいなワードが登場してると思うんですが、これを解決する有効な方策が「店内調理」ということだと思うのですね。だから軌道に乗ってるところが多い。原料は単純でいいから原価は抑えられる。そのぶん店で人件費使えるから適正な価格で提供できる。まあちょっとは高いけど「つくりたて」っていう付加価値が乗せられる。そんなことかと。

 

 おでんについては、いつまでもあの位置にあるのは、単純にバカみたいに稼ぐからです。終わり。逆に、稼がない店ならハイシーズン以外やってないはずですよ(セブン除く)。住宅街立地で同じスペース使って日に1万から売る商材ってほかに探すのすんげえ難しい。

 

 あとパンが朝食でしか戦えないってのは違いますよ。朝需要も多いですけど、昼もいい勝負なはずです。あと「時間がないときの間食需要」「小腹埋める」あたりの需要が相当に大きい。それとねえ、シリアルは無理だと思う。牛丼のときみたいに、シリアル専門の朝食業態の店が全国展開でもして「食文化」の一員になれない限り。

 つーより、コンビニ単体で食文化を変えるレベルの力ってないと思うのですね。というのは、コンビニってのは、繰り返しになりますけど「大量生産」「画一的で均質な商品を提供」が肝なので、工場生産→店舗に納品っていう形態がまず崩せない。ここ手放しちゃったらコンビニの強みをそのまま手放すことになりますから。んで、1000人や2000人の狭い商圏を相手にして商売してて、それを相手にして「賞味期限の切れる前に」充分な数の商品を売らなきゃならない。となると、あらかじめ食文化として定着してるものの需要を掘り起こす、というかたち以外ではなかなか新しいことは始められない。おにぎりしかり。おでんしかり。冷やし麺しかり。シリアルに掘り起こすべき潜在需要があるかっていうと、相当に疑問です。

 

 というわけでですね、結論としましては。

・おにぎりの次のイノベーションは店内調理だよ

・パンはがんばってるけど、ヤマザキパンについてはもともとメーカーの商品開発力が異常で、その異常さは20年くらい前から基本的に変わってないよ(本文中どこにもそんなこと書いてないよ俺)

・シリアルは無理だよ

・「のうりん」はおもしろいよ。これからは方言ようじょの時代だよ

 

 ということになりますでしょうか。アニメ化おめでとうございます。たくみちゃんがすっぽんぽんで登場できるかどうかがアニメ化成功の鍵を握っていると思います。もなー!