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国鉄型特急車の絶滅危惧種はこれだ!
2013/03/01
3月16日のダイヤ改正でJR西日本の特急「こうのとり」から引退する183系(大阪市淀川区)
先頭部の団子鼻が特徴的な東北・上越新幹線の初代型車両200系が定期運転を終える一方、特急「こうのとり」(新大阪―城崎温泉間)といった北近畿を走る特急から183系が引退と、旧日本国有鉄道時代のエースが相次いで花道を飾る今年3月16日のJRグループのダイヤ改正。
「他の旧型車両はいつまで頑張れるのか?」という疑問にお答えすべく、私が複数のJRグループ幹部から聞いた情報に基づき、絶滅が危惧される国鉄型特急車両のレッドデータブックとして紹介したい。
母体となる481系が東京五輪の開かれた1964年に登場して以来、15年余り製造されて北海道から九州まで幅広い特急に使われてきた国鉄時代のエース485系は、秋田―新潟間を走る特急「いなほ」から2013年度以降に順次消滅する。
JR東日本が3月16日のダイヤ改正で常磐線の特急を新型車両E657系に統一するのに伴い、「フレッシュひたち」で使ってきたE653系を「いなほ」に入れるためで「外観や内装の一部を変え、寒冷地向けの仕様に改造した上で投入する」(JR東日本幹部)という。
同じく485系で運転している新潟―金沢間の特急「北越」は、北陸新幹線が15年春に開業するのに伴って廃止が取りざたされている。お座敷列車「宴(うたげ)」といったジョイフルトレインに改造された485系は当面残るものの、原形をとどめた車両は姿を消していきそうだ。
東京都心部を走る特急「踊り子」の185系(東京都港区で撮影) |
JR東日本役員は背景を「羽田空港発着の国際線が拡大した影響でNEXの利用客数が低迷しており、今後はNEXの本数を削減し、余剰になった車両を『踊り子』に回すことを検討している」と説明する。
昨年12月に東京―伊豆急下田間でE259系を使った臨時特急「マリンエクスプレス踊り子」の運転を始めたのは、地ならしの意味もありそうだ。
他に上野と北関東の間を走る特急の「あかぎ」と「草津」も185系を用いているが、乗客数が低調なだけに運行体系が見直される可能性がある。
一方、60年代後半にデビューした寝台電車583系は唯一定期運転されていた夜行急行「きたぐに」が昨年3月に廃止され、JR西日本が保有車両を数年以内に廃車にする方針だ。
「きたぐに」は廃止後も繁忙期に臨時列車として運転されていたが、JRグループ幹部は「2012年12月~13年1月の年末年始に運行したのが最後となる可能性もある」と明かす。
先頭車の1両はJR西日本が京都市に16年春開業する博物館に展示する計画で、その車両を含めた1編成を退役前にクリーム色に紺色のラインが入ったオリジナル塗装に戻して運転し、旅行商品として販売する構想も浮上している。
“最後のご奉公”への期待が高まるが、JR西日本関係者は「実現するかどうかは流動的だ」とくぎを刺す。
「降る雪や明治は遠くなりにけり」とは中村草田男の句だが、旧国鉄が送り出した往年の花形車両が古くなって行き先が厳しい現状は「国鉄時代は遠くなりにけり」と訴えかけているようだ。これらの車両に保存や展示といった“セカンドライフ”の道筋がつくことを願っている。(2013・2・15)
☆大塚 圭一郎(おおつか・けいいちろう)共同通信社経済部記者。1973年東京都生まれ。特急「いなほ」の485系引退とE653系の転用を昨年9月に報じ、記事と写真が沿線の秋田、山形、新潟各県を代表する地方紙などに掲載された。
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