年間293億円! 手厚い外国人留学生への支援 日本の若者にもっと投資せよ
WEDGE 5月13日(月)12時11分配信
■グローバルエリートの育成を
日本国民の税金を日本社会に還元させる理想的な手段は、次世代を担う日本の若者たちにもっと投資するということではないだろうか。外国人留学生にかけているお金全てを、とは言わないが、日本人の若者を優遇するのは当たり前のことであろう。また、そのお金で日本の若者をグローバルエリートに育てることを真剣に考えてほしい。アメリカに5年滞在し、帰国子女や外国人の友人を多く持ち、アメリカ人や外国人たちとビジネスをしている筆者の経験からいうと、日本のエリートは試験勉強に強いエリートタイプで、グローバルエリートタイプとは大きく異なる。
自分の思考を持ち、率直な意見を話し、戦略をたてて、議論ができる人たちが、グローバルエリートの条件だ。グローバル思考的な人間は、空気は読むのではなく、空気は作るものだと思っている。リーダーシップを発揮し、型にはまった仕事をするのではなく、柔軟性を持つことが必要になる。無論、語学力があって、プレゼンテ―ション能力があることは必須である。
世界で闘えるグローバルエリートを日本人から輩出するために、適切な人間を海外にどんどん送り出して、教育をすることが重要だと思う。1.5人で1人の老人を支える超少子高齢化社会を迎えるにあたって、未来の日本の担い手に投資することが最も優先することではないか。世界の話せる英語、語学教育を行い、日本の高い技術力やすぐれた商品や日本人の美徳などをもっと世界に広めるようなプレゼンテ―ション能力を身につけることが、この少子高齢化社会を乗り切るために必要な人材だと思うからだ。
■自虐的でネガティブな日本人?
先日、現在パリ在住の『日本人こそ見直したい、世界が恋する日本の美徳』の著者、永田公彦さんとお話しする機会があった。永田さんは、日本に来るたびに不思議に思うことがあるという。それは自虐的ともいえる日本に対するネガティブ発言があまりにも多いことだそうだ。世界の人々がすばらしいと讃える日本社会のよい点、つまり「世界が恋する日本の美徳」に日本人自身が光をあてようとしない、ということだ。
日本の歴史、風土、文化の中で育まれた日本人特有の文化的価値観。「日本や日本人のここが好き、ここが素晴らしい」「自分たちの国も取り入れればいいのに、自国の人たちもこうなればいいのに」と世界の人たちが愛し、うらやむ点に目を向けることが重要なのだ。
永田さんは、3.11は皮肉にも世界に日本人の美徳を知らしめたと述べている。「厳しい状況でもパニックに陥らず、社会秩序を守り、辛抱強く、整然と助け合い行動する国民」「非常事態の混沌とした市街地でも盗難や強盗をしない市民」「被災地へ支援の手を差しのべる全国的な連帯」「被爆や余震リスクを承知で支援、復旧活動にあたる関係者や市民」というような日本人の行動をたたえる世界の人々がいたことを誇りに思いたい。
今話題のTPP交渉も悪いことばかりではない。「日本には高い技術力がある。そして何よりも社会に強い連帯感があるのが素晴らしい」と永田さんがいうように、日本の文化の強みを生かして、日本にある優れたクオリティーの高い商品や日本の強みをどんどん世界に売って行けばいい。筆者の友人で、カナダ出身の経営者会社のショーン・サンドバーグ氏に話を尋ねた。彼はまぎれもない親日派であるが、TPPについて、次のような前向きな発言をしている。
「今後は、TPPがくることによって、競争力があがり、コストのバランスを保つことになるだろう。日本は、たくさん安い製品を手に入れることができる。しかし、それらは日本の農業の産業を壊すことになるかもしれないという懸念もあるわけだ。ここで、日本は、海外の産業にさらされるため、競争力をつけなければならなくなる。これは、いいことだと思う。TPPは、閉鎖的だった日本の農業の活性化にとって非常にいい機会になると考えている。今こそ、会社や人々は変わる必要がある。黒船に乗ってやってきたペリーによって、日本が変わらざるを得なかったように、開国したように。TPPにたいしてはネガティブな見方もあるが、僕はこれらの点から日本にとってポジティブなことだと思うんだ」
この考えに私も同意する。日本には質の高い製品も美味しい食材もたくさんある。工夫すれば、きっとチャンスに変わるはずだ。日本人が得意の団結力でもって、本気で挑めば世界なんてそんなに怖くない。日本に必要なことは、日本の良さに注意を向けることと、グローバルエリートを日本人から育てることだと思う。今までの日本のやりかたに固執するのではなく、未来思考に変わり、戦略的に若者に投資することが鍵だ。日本人はもともと優秀な民族なので、そこに柔軟的思考と政治センスがついてくれば問題ないだろう。
◆編集部からのお知らせ
1ページ小見出し「海外では3倍の授業料を払う留学生」以下の段落について、より正確な表記に改めました。(2013年5月17日 18時55分)
山下真弥
最終更新:5月23日(木)13時50分
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