2013.6.12 05:06(2/3ページ)

NPB、飛ぶボール認めた!選手会が突き上げ

 誰の目にも明らかだった「ボールの変更」を、NPBがついに認めた。この日、仙台市内のホテルで行われた選手会との事務折衝(労使交渉)で、選手会の嶋会長らが「統一球が今季から変わったのではないか」と疑惑をぶつけた。NPBは反発度を高めた“ニュー統一球”に変更した事実を初めて明らかにした。

 折衝後に対応したNPBの下田邦夫事務局長は「規定の反発係数の範囲内に収めるため、微調整をお願いした」と説明した。昨年までに実施した抜き打ちの反発力テストの結果、最低ラインを下回るボールが多数見つかった。そのため昨夏、加藤良三コミッショナーの了解を得て、ミズノに反発力を上げて限度内に収めるよう指示した。

 古い統一球は今春の紅白戦やオープン戦までに使い切り、今季の開幕から“ニュー統一球”に切り替えていたのだ。その結果、ヤクルト・バレンティンが4月29日のDeNA戦(横浜)で場外弾を2本も放つなど、本数、飛距離とも、昨年に比べて異常ともいえる伸びを示した。

 公式球の扱いはNPBに一任されており、下田氏は12球団にも報告しなかった。外見上の仕様に変更がないとの理由で、反発力を高めた実態を隠し、「統一球の仕様は変更していない」と一貫して説明してきた。ミズノにも「全く変わっていない」と答えるように要請していた。下田氏は「知らせて混乱を招いてはいけないと思ったが、知らせないことで混乱を招いたといわれればそうかもしれない」と釈明した。

 選手会は「労働条件の問題で有利、不利が生じるため、(選手会に)報告の義務がある。複数年や出来高などの契約に影響が出る。何も相談なく勝手に変えていたら大問題だ」と主張。折衝では、労働条件の変更により契約の有効性が問われることを察した球団代表らが言葉を失ったという。

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