トルコ首相、反政府デモ隊と面会へ アルコール規制法が発効

[image] AFP/Getty Images

国旗を掲げるデモ参加者(10日、イズミル)

 【イスタンブール】トルコのアルンチ副首相は10日、エルドアン首相が12日に反政府デモ隊の代表者らと面会することに同意したと明らかにした。同首相はデモ隊に初めて融和的な姿勢を示した。

 アルンチ副首相はアンカラで閣議後に記者団に語った。エルドアン首相はこれとは別の機会に他の代表者らとも面会に応じるという。その一方で、ギュル大統領は同日、午後10時から午前6時までアルコール飲料の販売を禁止するとともに、ワインやビールなど蒸留酒の広告やマーケティングも全面禁止する法案を承認した。

 議論を呼んでいるこの法案は、大規模な反政府デモを引き起こした原因の1つ。もう1つの原因はイスタンブールの中心部にあるタクシム広場の公園の再開発計画に抗議する市民の座り込みを、警官隊が強引に排除したことだった。公正発展党(AKP)を率いて10年超にわたり首相の座にあるエルドアン氏にとって、就任して以来最も深刻な反対運動となっている。

 スタンダード銀行(ロンドン)の新興国市場調査部門の責任者であるティム・アッシュ氏は、「タクシム広場などの世俗派の反政府勢力にとって重要とみられる生活様式の問題は、AKPにとっても妥協の余地が小さい問題だ」と指摘し、「エルドアン氏が過去1週間非妥協的な態度を示してきたことを考えれば、政権側はデモ隊に大きく譲歩するとは思えない」と語った。

 反政府勢力の不満の根源には、エルドアン氏が地元とほとんど話し合わないままに都市開発計画を進めていることから、中絶やアルコールの制限、さらには「一家に子供3人」を提唱していることまである。世俗派や中間所得層はこれらの政策を個人の自由への干渉であり、イスラム的生活の押しつけだと反発している。

 反政権派は、ギュル大統領が和解のためアルコール規制法案を退けるのではないかとかすかな望みを抱いていたが、結局同大統領は期限直前に署名に踏み切った。エルドアン首相は、2011年の前回総選挙でAKPが50%の支持を獲得したことから、自らの政策は支持されていると強調している。

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