■一般家庭からの食品廃棄物のリサイクルについて質問します。
廃棄物の処理とリサイクルの推進に関する法整備が最近かなりそろってきた。例えば、平成14年建設リサイクル法、13年食品リサイクル法、12年容器包装リサイクル法、13年家電リサイクル法、今年に入って自動車リサイクル法。しかし、家庭の台所から排出される生ごみはどの法律の枠にも含まれていない。そこで、家庭生ごみに関する議員立法案を作り、今月の9日に参議院に提出した。私たちが提出した法案は、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)の改正案です。
食品廃棄物の現在の排出量の状況について簡単に説明を。(ツルネンマルテイ)
○全体でおおよそ2,200万トン。そのうち家庭から排出されるものが1,200万トン余、食品流通あるいは飲食店から排出されるものが550万トン、食品製造業からかすとして排出されるものが約400万トン。(南川環境省廃棄物・リサイクル対策部長)
■現在、食品関連事業あるいは家庭系の再生利用等の現状がどうなっているか。
○食品リサイクル法制定後、農林水産省は、食品循環資源の再生利用等実態調査という調査を実施している。平成13年度実地調査によると、平成12年度実績で、食品産業全体での再生利用は発生量の約26%。
その内訳は、食品製造業から発生する食品廃棄物(産業廃棄物)は、その組成が一定しているなど比較的再利用がしやすいこともあり、発生量の約46%が肥料や飼料などに再生利用されている。
これに対し、食品流通業、外食産業から排出される食品廃棄物(事業系の一般廃棄物)は、非常に多数の場所から少数ずつ、少量ずつ排出されることに加え、組成も多様になることもあり、食品製造業に比べて再利用率が低く、食品小売業では約15%、外食産業では約7%が再利用されている。
一般家庭から発生する食品廃棄物については、発生量の約1%が再利用されているにすぎない。(田中農林水産省審議官)
■フィンランドでは、一般家庭の生ごみのリサイクルは97%。
■この食品リサイクル法が採決されたとき6項目の附帯決議付されている。いつも附帯決議が出された後は大臣が、「ただいまは、法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後最善の努力をいたしてまいります。」というふうに約束します。
具体的にこの附帯決議がどのように実行されているか。
○一つは、本年3月、循環型社会の道筋を付けます循環基本計画を作り、諸外国の先進事例についても適宜情報を収集、公表している。
二つ目には、食品ロス統計調査などの実態調査を継続的に実施するとともに、ごみゼロ型形成推進運動や政府広報活動を通じた普及啓発活動を行っている。
三つ目には、説明会の実施による地方公共団体などの関係者への周知、あるいはNGO、NPOなど、地域での取組に対する支援。
四つ目には、主務大臣の定める基本方針、こういったものを決める際にはパブリックコメントなどを行い、また可能な限り具体的な規定を定めている。
五つ目には、食品の循環資源を原料とした肥飼料などの一層の利用、活用に資する登録再生利用事業者の育成に努めている。また、リサイクルコスト低減などのための技術開発促進、あるいは農林漁業者、再生利用事業者などによるリサイクルシステムの構築などを進めている。
附帯決議の趣旨を踏まえ、必要な措置を引き続き講じていきたいと考えている。(南川環境省廃棄物・リサイクル対策部長)
■いろんな取組が行われているが、家庭からの生ごみのリサイクルを促進するためにの具体的な案はない。附帯決議だけに頼らないで、やっぱり法律の中にちゃんと入れないと余り効果がないのでは。
■家庭系食品廃棄物リサイクル研究会の報告書について、今の段階ではどういうふうに生かされているのか。
○家庭系食品廃棄物リサイクル研究会は、平成13年の6月から7回にわたって実施、平成14年3月に報告書を発表。家庭系生ごみの発生抑制をいかに促進するかという点と、家庭系生ごみのリサイクルをどのように進めるのかという二つの課題について検討がなされ、検討の方向性が出された。
家庭系生ごみの発生抑制方策については、食べずに捨てるごみの削減、水切り分別の徹底が効果的であることなどの方策の方向が出された。
第二の、家庭系生ごみのリサイクルの進め方については、まずリサイクルに対する情報発信、浸透、地域住民のコンセンサス形成など、リサイクルに必要な基盤作りを行い、その上で分別の徹底やリサイクル製品の利用先確保等を図っていくことが重要であると、そういう方向付けが行われた。
具体的には、まず、全国各地における説明会の開催、これは平成13、14年、両年で約150実施。それに政府広報を活用したテレビによる普及啓発などを行い、情報の浸透、機運醸成に努めている。また、市町村やNPOなどが主体的に食品リサイクルに取り組む際、地域の実情に合ったモデルプランを作成するなど、リサイクルシステムの構築に対して支援をする事業、あるいは市町村が主体となって先進的、モデル的な食品リサイクル施設の整備を推進する事業などを平成15年度から始めている。(田中農林水産省審議官)
■見本になる一つの市がある。それは山形県長井市です。民主党環境部門会議でも視察に行った。
長井市のレインボープランの概要と、それに対する環境大臣のコメントを。
○山形県長井市は廃棄物処理法の一般廃棄物処理計画に基づいてレインボープランを作って実際に実施している。平成9年2月から、一般家庭からの生ごみを分別収集し、農家から排出される家畜ふん尿、更にもみ殻等を混合し発酵、年間で約六百トンの堆肥を生産。生産された堆肥は、農業協同組合を通じて地元農家に販売され、これらの堆肥を利用して生産された農作物が消費者に販売されることにより、循環型の食品廃棄物の利用というものに熱心に取り組んでいる。(南川環境省廃棄物・リサイクル対策部長)
○残念ながら私まだ当地を伺ったことがない。話を聞くと、大変な農業が盛んな地域である、そしてその堆肥の需要もあると、そういう地域であると聞いている。地域の特性を生かし、市が主体となった食品廃棄物の利用、この場合は堆肥化、この取組が円滑に行われており、先進事例の一つであると、評価をしている。(鈴木環境大臣)
■民主党の議員立法案について環境大臣のコメントを。
○一般論として、生ごみはまず腐りやすい、それから一般家庭から排出されるものは異物が混入しやすい、それから再生した堆肥等の需要先の確保が困難、そういう課題とがあるが、その適正な循環的利用を促進していくということは重要である。
一方、市町村が主体となって再生利用等を進める仕組みについては、廃棄物処理法に基づく一般廃棄物処理計画等によって既に措置をされている。市町村が廃棄物処理法の第六条により一般廃棄物処理計画を立てるわけだが、そこに分別収集する種類及び分別の区分を決められることができ、正に先ほどの長井市もこうした廃棄物処理法の一般廃棄物処理計画の中にそれを盛り込んでやっており、こうした今の法律に基づいても市町村がやろうと思えばできるわけで、そういう意味では既に措置をされていると思う。従って、この改正案が成立をした場合には、二重の計画が策定されるという混乱が生じる懸念というものもあり、その辺の調整が必要だと思う。
いずれにしても、食品リサイクル法の附則には、施行後5年を経過した時点で施行状況について検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講じるという旨が規定をされているので、この法律については、現行法に基づいて、まず事業系食品廃棄物の取組を推進をし、五年を経過した際にその実施状況について検討をして、それを踏まえた措置を講じることが適当であると、考える。(鈴木環境大臣)
■民主党の議員立法案をたたき台として、各野党と与党の協力を強く期待します。
■昨年12月に農薬取締法の改正が行われ、生活環境での農薬散布に対する規制がそれに盛り込まれなかったが、関係局長通知を出すということになっているが、現状は。
○この問題については、農業者を指導するだけではなく、街路樹とか公園などの施設の管理者に対する指導も必要だ考えており、現在、これらの施設を所管する省庁と、説明をしたりその内容についての調整をしている。早急に調整を終了し通知を出したいと思っていますし、その通知を基に、住宅地などにおける飛散防止について、他省庁とも連携して関係機関を指導していきたい考えている。(岡島農林水産省審議官)
■これは非常に大きな問題ですから、その通知は一日も早く出せるように私の方からも強く希望します。
昨日のNHKのニュースで、空中散布、空中農薬散布の被害が、千葉県の夷隅町では、子供たちが学校の帰りにヘリコプターから農薬の散布により何十人も被害を受けた。空中農薬散布も本当にもっともっと厳しく規制しなければならない。是非これからもそういう被害が増えないように私の方からも要求して、これで私の質問を終わります。(ツルネンマルテイ)
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