【橋下氏訪問を「拒絶」】サンフランシスコ市、慰安婦発言受け通告文書 「市民は歓迎せず」/「訪問拒絶」文書全文
米サンフランシスコ市が大阪市に送った、橋下市長訪問を「拒絶」する文書の日本語訳=10日午後 |
文書を送ったのは、訪問計画の交渉窓口となっていたサンフランシスコ市幹部。大阪市は5月22日に受け取り、翻訳を同日中に橋下氏に示したが、公表していない。
文書は「サンフランシスコ市役所のスタンス」として「橋下市長が個人的に来ることは妨げられない」と記載しながらも、公式訪問や表敬訪問を拒むと明記。
「訪問先のすべてで抗議集団に囲まれるだろう。警備体制の費用が多大な負担になる」「訪問を決行すれば大阪市のイメージダウンは避けがたい」などと忠告を重ね「市民は訪米を歓迎していない。警備面と大阪の経済発展の見地からみて訪問が延期されることを望む」と締めくくった。
橋下氏は5月13日に慰安婦問題などについて発言した。米国内の反発が伝えられた後も「現地で議論したい」などと訪米計画中止を否定。文書が届く前日の21日にも、都市政策の参考にするため「関係者との面会が設定できなくても行く」と強調したが、28日に「訪問先に警備面などで負担を掛ける。議会の意見などを総合的に判断し中止と決定した」と表明した。
大阪市とサンフランシスコ市は50年以上前から姉妹都市関係を結んでいる。文書は幹部の「個人的見解」と記されているが、2都市間関係を悪化させないための配慮とみられる。
橋下氏は6月10日から16日までの日程で、サンフランシスコ市とニューヨーク市を訪問する予定だった。
◎「訪問拒絶」文書全文
橋下徹大阪市長の訪問を拒絶したサンフランシスコ市の文書全文は次の通り。(大阪市の担当部署が翻訳)
【サンフランシスコ市役所のスタンス】
サンフランシスコ市長室は現時点で公式声明は出していない。
橋下市長が個人的に来ることは妨げられないが、公式訪問としては扱わないし、表敬訪問は受けない。
【抗議行動について】
抗議行動に遭うことは間違いない。訪問先のすべてで抗議集団に囲まれるだろう。
サンフランシスコ市は大きな警備体制を用意しなくてはならず、多大な費用負担となる。
【ニューヨークについて】
ニューヨークでも事情は同じであろう。(サンフランシスコの)リー市長と(ニューヨークの)ブルームバーグ市長の関係は親密であり、ブルームバーグ市長がいま橋下市長に会うとは思えない。
【抗議コメント】
リー市長は日系アメリカ人コミュニティー、多民族コミュニティー、女性グループ、市民グループからの抗議コメントに圧倒されている。
【結論】
サンフランシスコ市民は現在橋下市長の訪米を歓迎していない。訪問を決行すれば大阪市のイメージダウンは避けがたい。警備面と大阪の経済発展の見地からみて訪問が延期されることを望む。
(共同通信)