英鉱工業生産拡大し住宅価格も上昇、中銀の追加緩和実施観測遠のく
[ロンドン 11日 ロイター] - 英国の4月の鉱工業生産が3カ月連続で増加し、5月の住宅価格が過去約3年間で最も大幅な上昇を示したことで、イングランド銀行(英中央銀行)のカーニー次期総裁にとり、追加刺激策の検討が困難になる可能性が出てきた。
英国立統計局(ONS)が11日発表した4月の鉱工業生産は前月比0.1%増となり、3カ月連続で増加した。予想は横ばいだった。
前年比では0.6%減となったものの、減少率は2011年6月以来最小だった。
製造業生産は前月比0.2%減、前年比0.5%減。
鉱工業生産は前年を通して英経済成長の足かせとなっていた。現在もサービス部門が経済のけん引役となっているものの、エコノミストの試算では、鉱工業生産は今年第2・四半期の国内総生産(GDP)に少なくとも0.1%ポイント貢献する見通し。
また、英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)の発表によると、5月の英住宅価格指数(季節調整済み)はプラス5で、ロイター調査による予想のプラス4を上回ったほか、2010年6月のプラス5以来の高水準となった。前月はプラス1だった。
政府の緊縮財政措置や賃金の伸び悩み、融資条件の厳しさを背景に住宅市場が圧迫され、同指数はここ3年あまり、概ねマイナスとなっていた。住宅価格は、07年のピーク時に比べて5分の1程度にとどまっている。
だがRICSによると、イングランド銀行(BOE、中央銀行)による融資資金提供スキームや、政府の購入支援策などの融資条件緩和措置が市場に浸透しはじめ、新規購入に関する問い合わせが09年の水準まで回復している。
RICSの国際住宅部門ディレクター、ピーター・ボルトン・キング氏は「不動産の見学に訪れる人が増え、取引成立件数が久しぶりに伸びている」と述べた。また、住宅市場はより富裕な南東部に限らず全国的に安定してきていると付け加えた。
ロイターが5月末に実施した調査によると、英中銀が年内に資産買い入れ枠の拡大を決定すると予想したエコノミストは過半数に満たなかった。前月の調査では大半が年内に追加刺激実施があるとの予想を示していた。
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